研究実績の概要 |
私たちは前年度までに、腸管から膵臓へ移行する腸内細菌が形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells, pDCs)を活性化し、膵炎を引き起こすことを見出している。今年度は膵臓でどのようなメカニズムにより、pDCsの活性化が生じるのか?検討した。MRL/MpJマウスに自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis, AIP)を誘導した。AIPモデルマウスの膵臓における免疫細胞の集積をFlowcytometryで時系列的に詳細に解析した。さらに、膵臓への免疫細胞の集積に関わるサイトカイン・ケモカイン反応を解析した。以下のデータを得た。 1) AIPの誘導により、最初に膵臓の樹状細胞(conventional dendritic cells, cDCs)が活性化され、I型IFNを分泌する。cDCはI型IFNに反応し、ケモカインCXCL9, CXCL10を放出する。 2) cDCによるI型IFN、CXCL9、CXCL10に反応して、CXCR3陽性CD4T細胞が膵臓に浸潤し、CCL25/IFN-gammaを産生する。 3) CCL25に反応して、CCR9陽性pDCが膵臓に浸潤し、pDCがI型IFNとIL-33を産生することにより、自己免疫性膵炎が起こる。 このように、今年度は自己免疫性膵炎モデルマウスにおいて、 cDC-CXCR3 T-pDCの病的細胞集団の同定とI型IFN IL-33 CCL25 CXCL9 CXCL10の病的液性因子の同定に至った。
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