研究実績の概要 |
研究開発の目標は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構で登録された約34,000例の地域住民コホートにおける100以上の基礎疾患データと予後の関連を解析した上で、本邦独自の予後予測のための基礎疾患スコアを開発することであり、さらに年齢、性別、飲酒、喫煙などを含めた予後予測システムを開発することである。また、開発されたスコアの妥当性を見るため、本研究期間に約17,000例のコホートにて確証することも予定している。当初は、本スコアに癌病期も含める予定としており、各種手続きを踏まえた上で2023年度に実際にがん登録データとの照合、データ抽出を行った。しかし、2013年の地域住民コホート登録以前のデータを抽出することが困難であることが判明し、癌病期を基礎疾患スコアに含めることは困難であった。一方で、喫煙・飲酒の詳細を含めた候補因子と3年後予後との関連性について、スーパーコンピューターにてデータのインピュテーションを行いつつ解析を行った。基礎疾患では10以上の疾患が地域住民における3年後予後と関係していることが明らかとなり、最適な重み付けを行っている。また、喫煙に関しても、予後と関連することが明らかとなった。大規模前向きコホートを用いて、その基礎疾患などと予後の関連を初めて明らかにしたという点において、その意義は大きいと考えられる。また、これに付随して、予後とも関連しうる多発胃癌に喫煙が関連すること、アルコール関連遺伝子多型が関連することを明らかにした。
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