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2023 年度 実施状況報告書

CDKN3阻害剤による大腸癌の抗癌薬治療耐性機序の克服と新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K08012
研究機関京都大学

研究代表者

松原 淳一  京都大学, 医学研究科, 准教授 (40782371)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードCDKN3 / 食道癌 / 抗がん薬 / 大腸癌
研究実績の概要

本研究では、CDKN3阻害作用を有する化合物を用いて、薬理作用をin vitro実験により生物学的に検証して新規薬剤候補となるリード化合物を絞り込む。そして、マウスを用いた前臨床試験を行い切除不能大腸癌の新規治療戦略としてのCDKN3阻害剤を開発することを目的とする。
本研究2年目の計画は、ヒト癌細胞株を免疫不全マウス(NRG: NOD.Cg-Rag1tm1Mom Il2rgtm1Wjl/SzJ)の皮下に移植した前臨床in vivoマウスモデルを用いて、新規CDKN3阻害剤の臨床的有用性を確認する、であった。しかしながら、ヒト手術検体から直接作成する異種移植腫瘍片(Patient-derived Xenograft (PDX) Tumor)マウスモデルの樹立がうまく進まず、最終的に食道癌細胞株を免疫不全マウスに移植するモデル(Xenograft Tumorモデル)を利用することになった。また、in silico解析で得られたCDKN3阻害作用を有する化合物候補の中からin vitro実験系で薬物性能を評価する実験系は、現時点で実験開始が遅れている。そのため我々は、CDKN3ノックダウンのためのshRNAを用いたin vivo腫瘍マウスモデルを用いて実験を行った。その結果、CDKN3ノックダウンと抗癌剤パクリタキセルを併用すると、パクリタキセル治療単独よりも統計学的に有意にXenograft Tumorモデルの腫瘍増大を抑制した。これは、我々の仮説「CDKN3が抗癌剤の治療効果を増強させる」を証明するものであり、大変有意義な実験結果といえる。一方で、CDKN3ノックダウンとパクリタキセル治療の併用療法において、互いの相乗効果を示す統計学的な検定(Two-way ANOVA)では、統計学的に有意な相乗効果を検出できなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

in silico解析で得られたCDKN3阻害作用を有する化合物候補の中からin vitro実験系で薬物性能を評価する実験系の開始が遅れている。

今後の研究の推進方策

in silico解析で得られたCDKN3阻害作用を有する化合物候補の中からin vitro実験系で薬物性能を評価する実験系を開始する。それとともに、3年目の研究計画である「CDKN3阻害剤添加あり/なしの癌細胞のmicroarray解析からpathway analysis」を行い、CDKN3阻害剤と併用する薬剤として最適な分子標的薬剤を同定する実験系も開始する予定である。

次年度使用額が生じた理由

化合物ライブラリーを用いたスクリーニング実験系のために物品費の使用を予定していたが、PDX Tumorマウスモデル実験系の確立に時間を要し、化合物ライブラリーの実験系の開始に遅れが生じた。そのため、化合物ライブラリー購入費用が次年度に持ち越しとなった。そのため、翌年度分として請求した助成金と合わせて、化合物ライブラリーやその他の実験用物品購入のために今後使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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