研究課題
2023年度は、炎症性腸疾患のモデルマウスであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎マウスにおける不死化歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)の治療効果の作用機序について検討を行う予定であった。① ヒト腸管バリアの腸管上皮in vitroモデルとして、ヒト結腸癌由来細胞CaCo2の培養細胞をTNF-aで刺激し、SHED-CM の存在下および非存在下でデスモグレイン2(DSG2)の発現、経上皮電気抵抗の測定、透過した蛍光標識デキストランの蛍光強度を測定、上清中の分子の関与を複数の中和抗体を用いて検討する予定であった。CaCo2細胞をSHED-CMで刺激すると、DSG2発現が上昇する傾向が見られた。② 免疫抑制の作用機序としては、DSS水7日間と通常の水道水3日間飲水後、粘膜固有層リンパ球を取り出し、細胞分布や免疫抑制に関わる制御性T細胞(Treg)、IL-10産生制御性T細胞Tr1、骨髄由来抑制細胞、M1/M2マクロファージの比率についてFACS解析を行った。SHED-CM投与により、Foxp3+CD25+CD4+Tregや骨髄由来抑制細胞(MDSC)が増加する傾向が見られた。以上の結果より、SHED-CMによる免疫抑制の誘導にTregとMDSCの関与と腸管粘膜の修復の可能性が示唆されたが、今後、それらの再現性とSHED-CM中のどの分子がそれらの誘導に関与しているかを示す必要がある。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Int J Mol Sci.
巻: 24(10) ページ: 9094
10.3390/ijms24109094