研究課題/領域番号 |
22K08020
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
福井 寿朗 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60402905)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Smad蛋白 / 消化管癌 / 発癌 / 進展機構 / 臨床応用 |
研究実績の概要 |
これまでも解析・研究してきた腸炎関連大腸癌モデルのAOM/DSSマウスを応用し、腫瘍発生初期の病態を解析した。 ・5週齢のICRマウスにAOMを腹腔内投与し、1週後からDSSを7日間飲水させた。実験開始4-6週後のマウスモデルにて、早期の微小病変形成を解析した。 ・微小病変の観察にて、腫瘍発生部位は正常腺管上方(top-down)と当初は考えていたが、連続切片による詳細な検討により、粘膜固有層の炎症・線維化が強い場合の上皮再生部である上皮上方に正常腺管とは別に新たに腫瘍が出現しており、粘膜再生部の腫瘍化した組織幹細胞が腫瘍発生の原因であり、その後腫瘍腺管が上下へ伸び、分枝し増大すると考えられた。炎症の強い部位に腫瘍化が始まるという理論に合致した所見と考えられた。 ・微小病変はKi67、βカテニン、cyclinD1、Sox9が陽性の腫瘍病変であることを確認した。微小病変にもKi67陰性、CDK4強陽性のpSmad2/3L-Thr強陽性細胞を確認できた。この細胞はβカテニン陽性の腫瘍細胞であり、AOM/DSSマウスおける実験開始10~20週の完成された腫瘍病変内に認められ腫瘍幹細胞と考えたpSmad2/3L-Thr強陽性細胞と同様の細胞と考えられた。 ・1~3腺管からなる極初期と考えられる病変も発見されており、これらの観察によりより腫瘍発生早期の病態に迫ることができるのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
並行して進める予定であった腸炎関連大腸癌マウスモデルの解析が、新たな非常に興味深い所見の発見により時間を要し、予定していた臨床検体を用いた解析を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
AOM/DSS腸炎関連大腸癌モデルマウスの初期病変のさらなる解析により、病態発生機構の解明を目指そうと考えている。 当初の研究予定である臨床検体を用いた解析も可能な限り並行して進めていこうと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでも継続的に研究し、当該研究テーマにおいても並行して解析を進める予定であった、腸炎関連大腸癌モデルマウスのAOM/DSSマウスモデルを用いた研究に、予想外の結果・成果が新たに発見されたため、そちらの解析を優先した。 このため、既存の物品・試薬を使用する機会が多く、新規解析を開始する研究内容のための経費が少なくて済んだため。
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