研究課題
肝癌幹細胞のPAPR阻害剤耐性のメカニズムを解析するべく、実験を継続した。我々が樹立した、CD44高発現、CD133高発現の幹細胞では、細胞周期解析を行うと、PAPR阻害剤の感受性が高まるとされる、G2/M期の増加が見られたものの、相同組換えの頻度に有意な変化はなく、PAPR阻害剤の耐性を示すことができなかった。また、CD44を2種類のsiRNAにてノックダウンした肝癌細胞株においても、相同組換えの頻度に有意な変化は見られなかった。代表的なDNA切断薬である、CPT-11およびEtoposideを肝癌細胞株に投与すると、CD44だけでなくCD133の上昇が認められた。一方、複数のPAPR阻害剤(Olaparib、Niraparib、Talazoparib、Rucaparib)を、肝癌細胞株に投与すると、mRNAレベルではCD133の上昇は見られなかったが、すべての阻害剤でCD44が上昇しており、CD44がPAPR阻害剤の耐性に関与している可能性が考えられた。代表的なPARPである、PARP1について2種類のsiRNAにてノックダウンした肝癌細胞株においては、PAPR阻害剤に対して耐性をしめすものの、CD44、CD133の上昇は認められなかった。DNA2本鎖切断の修復機構には、相同組換えの他に、非相同末端結合 があり、そのうちDNA末端のマイクロホモロジーを利用する代替的なもの(alternarive end joining)に、DNAポリメラーゼQが知られてり、我々が樹立した、肝癌幹細胞において、高発現していることがわかった。これらより、相同組換え以外のDNA修復機構とPARP阻害剤の耐性について検討を進めている。
4: 遅れている
我々が確立した肝癌幹細胞において、PAPR阻害剤に対する耐性をうまく再現できず、肝癌幹細胞を他の方法で分離を試みているため。
他の肝癌幹細胞の分離方法にて、PARP阻害剤耐性に関わる因子の同定を進めていく。
令和5年度にRNAシーケンシングを行う予定であったが、研究が予定より遅れており、令和6年度、肝癌幹細胞での、PARP阻害剤の耐性機構を明らかにするために、別の方法で分離した肝癌幹細胞において、RNAシーケンシングまたは、メチレーション解析を行う予定。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
Targeted Oncology
巻: 19 ページ: 29~39
10.1007/s11523-023-01029-6
Nature Medicine
巻: 30 ページ: 730~739
10.1038/s41591-023-02791-w
Frontiers in Nutrition
巻: 10 ページ: -
10.3389/fnut.2023.1272728
Hepatology Research
巻: 53 ページ: 960~967
10.1111/hepr.13936
Cancers
巻: 15 ページ: 3257~3257
10.3390/cancers15123257
European Journal of Cancer
巻: 189 ページ: 112933~112933
10.1016/j.ejca.2023.05.021
Therapeutic Advances in Medical Oncology
巻: 15 ページ: -
10.1177/17588359231216090
Journal of Gastrointestinal Oncology
巻: 14 ページ: 2083~2096
10.21037/jgo-23-114