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2023 年度 実施状況報告書

GAPPS(家族性胃底腺ポリポーシス)の癌化メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K08028
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 伸三  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30723746)

研究分担者 畑 昌宏  東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90892505)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード胃がん / APC / GAPPS
研究実績の概要

前年度、本研究では、GAPPSのモデルマウスを作成するあたり、ヒトとマウスのDNAの相同性とpromoterの機能的類似性を確認するため、APC promoter内にあるSNP(-195AtoC,-118del)より転写活性がヒト、マウス間で高い類似性を確認し、RIPSR/Cas9システムを使用しマウス受精胚前核に精製Cas9およびゲノム編集用sgRNA,ドナーoligoを注入しGAPPSモデルマウス作成した。前年度、24週齢のGAPPSマウス解析を行った。さらに48週齢GAPPSモデルマウスの病理学的解析を行ったところ、マウス胃体部の肥厚と上皮化成の悪化が観察できた。ただし、48週齢の観察でも、胃癌が発生したマウスは観察されなかった。一方、追加した48週齢の観察でも大腸、小腸において腫瘍の発生等がないかを観察しところ、ヒトGAPPSとの類似するように表現型は見られなかった。免疫染色にて、胃粘膜細胞の分化パターンを解析したところ、壁細胞の減少とムチン産生細胞の増加を確認し、化成変化が起きていることが確認できた。さらに、化成変化を起こした粘膜では、血球細胞の集簇も確認された。このことは、何らかの免疫的な変化が表現型に寄与している可能性を示唆している。次に、GAPPSマウスより採取した、胃オルガノイドの培養に成功し、RNAseqにて遺伝子発現を網羅的に解析したところ、発癌に寄与することが示唆されている特定のシグナル経路の活性が、確認された。そのシグナル経路を阻害する、低分子化合物を添加してGAPPSオルガノイドを培養したところ、増殖能の低下を確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究にて作成したGAPPSマウスにおいて、ヒトと類似性のある胃特異的な表現型を確認することができた。作成したマウスよりオルガノイドを作成し、網羅的な解析を行うことで、その表現型に寄与しているシグナルを同定することができており、おおむね研究の進捗は順調である。

今後の研究の推進方策

作成したGAPPSモデルマウスの解析数を増加させ、また、現在48週齢まで解析を終えているが、現在のところ、人と同じように発癌にまで至った個体は観察されていない。今後、72週まで、さらに長期間の解析を行うことで、発癌の有無やさらなる表現型の有無を評価していく予定である。また、GAPPSモデルマウスへのピロリ菌の感染実験を行うことで、GAPPSにおいても、ピロリ菌によって発癌が誘導されるかどうか検証していく予定である。さらに、p53マウスなどの他の遺伝子改変マウスと交配させることで、発癌が見られるかどうか検証も加えることを計画している。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗により費用がかさむマウス実験が未終了であり、それに関する請求が次年度に繰り越されたため、次年度に支払う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Upper gastrointestinal involvement of Bechet's disease in Japan: endoscopic findings and clinical features2024

    • 著者名/発表者名
      Murakami Keita、Arai Junya、Ihara Sozaburo、Tsuchida Yumi、Shoda Hirofumi、Tsuboi Mayo、Kurokawa Ken、Shiomi Chihiro、Suzuki Nobumi、Hayakawa Yoku、Fujio Keishi、Fujishiro Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Gastroenterology and Hepatology

      巻: 39 ページ: 708~715

    • DOI

      10.1111/jgh.16479

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Engineered bacteria detect tumor DNA2023

    • 著者名/発表者名
      Cooper Robert M.、Wright Josephine A.、Ng Jia Q.、Goyne Jarrad M.、Suzuki Nobumi、Lee Young K.、Ichinose Mari、Radford Georgette、Ryan Feargal J.、Kumar Shalni、Thomas Elaine M.、Vrbanac Laura、Knight Rob、Woods Susan L.、Worthley Daniel L.、Hasty Jeff
    • 雑誌名

      Science

      巻: 381 ページ: 682~686

    • DOI

      10.1126/science.adf3974

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Association of probiotic use with nivolumab effectiveness against various cancers: A multicenter retrospective cohort study2023

    • 著者名/発表者名
      Arai Junya、Niikura Ryota、Hayakawa Yoku、Suzuki Nobumi、Honda Tetsuro、Okamura Takuma、Hasatani Kenkei、Yoshida Naohiro、Nishida Tsutomu、Sumiyoshi Tetsuya、Kiyotoki Shu、Ikeya Takashi、Arai Masahiro、Boku Narikazu、Fujishiro Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 12 ページ: 16876~16880

    • DOI

      10.1002/cam4.6313

  • [雑誌論文] The Association between Diverticular Rebleeding and Early-Morning Blood Pressure and Surge: A Prospective Observational Trial2023

    • 著者名/発表者名
      Arai Junya、Niikura Ryota、Yamada Atsuo、Aoki Tomonori、Suzuki Nobumi、Tsuji Yosuke、Hayakawa Yoku、Kawai Takashi、Fujishiro Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Digestion

      巻: 104 ページ: 400~408

    • DOI

      10.1159/000531099

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公開日: 2024-12-25  

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