研究課題/領域番号 |
22K08029
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小林 正典 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10825459)
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研究分担者 |
伊藤 剛 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特任助教 (20733900)
田邉 稔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50197513)
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 膵充実性偽乳頭腫瘍 / オルガノイド / 網羅的遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
膵solid pseudopapillary neoplasm(SPN)は比較的稀な膵腫瘍であるが,発生原因は不明で病理学的には偽乳頭構造が特徴となる.悪性度の高いSPNに対する有効な治療法はなく,有効な薬物治療の開発が望まれる.腫瘍の由来や機能異常の同定には網羅的遺伝子解析が有効であるが,現在までSPNにおいては有力な治療対象もしくは由来を示すような遺伝子変異は同定されていない.今回,われわれはオルガノイド培養技術を利用し,腫瘍細胞を純化することで,より精度の高い網羅的遺伝子解析が行えることを利用して本研究を計画した.手術やEUS-FNAで得られた腫瘍と正常部のオルガノイドをSPNについては現時点で11例収集し,RNA-seqにて遺伝子解析を進めている.現状までの解析では腫瘍由来手術組織・腫瘍由来オルガノイドで共通して発現変動を認める32遺伝子を同定した.これらの発現変動から同様のプロファイルを示す疾患群を想定し,神経内分泌腫瘍や膵嚢胞性腫瘍などのオルガノイド作成や発現変動の解析も開始している.神経内分泌腫瘍と正常膵のオルガノイドのRNA-seqの比較ではいずれでも同様の発現変動を示す322の遺伝子群が同定された.これら膵腫瘍と正常膵との比較解析,SPNと正常膵との比較解析により,SPNに特徴的かつ本質的な遺伝子発現変化を同定し,これらの知見からSPN成立・進展を規定する分子生物学的機序を解明することにより,SPNに対する新規治療の開発につながることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少腫瘍のため多くはないが,比較的順調に症例を蓄積している.
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた網羅的遺伝子解析の結果をもとにSPN成立・進展を規定する分子生物学的機序を解明することにより,SPNに対する新規治療の開発につながることが期待される.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため 使用計画:検討する数、種類を拡大して解析を行うため、試薬増量して購入する予定である。
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