研究課題/領域番号 |
22K08040
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
大谷 恒史 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
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研究分担者 |
灘谷 祐二 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
渡邉 俊雄 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50336773)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己免疫性胃炎 / 胃粘膜関連細菌叢 |
研究実績の概要 |
自己免疫性胃炎 (AIG) のマウスモデルは生後3日目のBALB/c nu/+マウスを冷凍仮死後、鎖骨付近の皮膚を切開し、胸鎖乳突筋と鎖骨の間からピペットを挿入し、胸腺両葉を吸引摘出して作成し、コントロールマウスには皮膚切開とピペット挿入のみによるsham手術を実施した。胸腺摘出3ヵ月後、6ヵ月後の解剖は終了しており、これから12ヵ月後の解剖を行うところである、胸腺摘出3ヵ月後、6ヵ月後にはすでに肉眼的および病理組織学的にAIGによる胃炎が発症していることを視認し、またAIGが形成された胃内のpHはほぼ全例において4以上となっていることを確認した。マウス血清中における抗胃壁細胞抗体については研究用ELISAキットを用いて測定を行ったが、AIG発症マウスにおいて必ずしも有意な上昇はみられなかった。ヒトについても、これまでA型胃炎患者20名とヘリコバクター・ピロリ未感染コントロール12名から内視鏡下に粘膜層ブラシおよび粘膜生検によって検体を採取した。これらマウス、ヒトの検体からのDNA、mRNAの抽出は完了し、現在MiSeq次世代シークエンシングシステムを用いた胃粘膜関連細菌叢の解析およびトランスクリプトーム解析による遺伝子発現プロファイリングを行っているところである。今回AIGマウスモデルの作成の手技については研究期間内に確立できたと考える。ヒトのA型胃炎においては抗胃壁細胞抗体価の上昇が高率にみられるのに対して、マウスではそれは必ずしも重要ではないように推察しているが、研究用試薬の精度については現在他の試薬を用いて検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究用ELISAキットを用いたマウス抗胃壁細胞抗体の測定結果の妥当性についての検証に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在結果を待っている胃粘膜関連細菌叢の解析およびトランスクリプトーム解析の結果が揃い次第、AIG発症に必要な胃内細菌と胃炎の進行に関与する胃内細菌の存在についての実験を進めていく。具体的には、BALB/c germ-freeマウスにnTx処置を行い、無菌下でもAIGが発症するか検討した上で、ヒトAIGで増加がみられた胃内細菌をnTx処置後BALB/c germ-freeマウスに移植してノトバイオートマウスを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度は主に実験手技の確立とマウス、ヒトの検体からのDNA、mRNAの抽出までの実験で終了したため、費用が予定より抑えられた。 (使用計画)次年度の胃粘膜関連細菌叢のマイクロバイオーム解析、トランスクリプトーム解析、germ-freeマウスの購入、フローサイトメトリー解析の費用に充てる予定である。
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