研究課題/領域番号 |
22K08040
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
大谷 恒史 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
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研究分担者 |
灘谷 祐二 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
渡邉 俊雄 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50336773)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己免疫性胃炎 |
研究実績の概要 |
令和5年度は胸腺吸引析出によって作成した自己免疫性胃炎 (AIG) マウスモデル群とsham手術群の胃粘膜組織を採取するとともに、AIGと診断された症例群およびH. pylori未感染と診断された対照群から内視鏡下に粘膜層ブラシおよび胃粘膜生検によって検体を採取して胃粘膜関連細菌叢のマイクロバイオーム解析を行い、AIG症例群を胃神経内分泌腫瘍 (NET) 発症の有無によって2群に分けて解析を行った。菌種存在比の解析の結果、胃NET発症群では胃NET非発症群と比較してFusobacteriota門、Proteobacteria門の比率が高く、Firmicutes門の比率が低かった。Kruskal-Wallis testの結果、胃NET発症群では胃NET非発症群と比較してFusobacteriotaのうちFusobacterium periodonticum、Fusobacterium nucleatumの有意な増加、ProteobacteriaのうちHaemophilus parainfluenzae、Haemophilus parahaemolyticus、Haemophilus haemolyticusの有意な増加、FirmicutesのうちStreptococcus salivarius、Veillonella atypicaの有意な低下がみられた。Operational Taxonomic Unit解析では胃NET発症群、胃NET非発症群で相違はみられず、胃NET発症群ではα多様性 (Faith’s phylogenetic diversity) が有意に高く、β多様性 (PCoA) において2群間の菌叢の構成は有意に異なっていた。これらの解析結果から、胃NETを発症したことのあるAIG症例の胃粘膜関連細菌叢は未発症のものと比較して変化が生じている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MiSeq次世代シークエンシングシステムによって16S rRNA領域特異的プライマーを用いて胃粘膜関連細菌叢のマイクロバイオーム解析に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在結果を待っているAIGマウスモデルの胃粘膜関連細菌叢の解析の結果が揃い次第、AIG発症に関与する胃内細菌、胃NET発症に関与する胃内細菌および胃NET発症抑制に関与する胃内細菌の存在についての実験を進めていく。さらに、胃NET発症の有無によって糖代謝、アミノ酸代謝、脂肪酸代謝、グルタチオン代謝、尿素回路、メチオニン回路といった代謝経路に相違が生じているかどうか、メタボローム解析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度の解析費に費用を残すため、2023年度は節約した。
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