研究課題/領域番号 |
22K08052
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中河 秀俊 金沢大学, 医学系, 助教 (90743469)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 養子免疫療法 / TCR-T / TERT / アルファフェトプロテイン |
研究実績の概要 |
<マウスTCR-Tモデルの確立>TCR遺伝子発現システムは、これまで使用してきたレトロウイルスシステムpMXs-TCRb-P2A-TCRa-IRES-GFPを用いた。検討するにあたりTCRはhTERT461特異的TCR遺伝子A12.78を、標的細胞としてHepG2細胞株(HLA-A24+、hTERT発現hi)を採用した。HepG2 2x10^6をマトリゲルと混和し、NSGマウスの体幹へ皮下投与することで7日目に触知可能な皮下腫瘍形成を確認した。TCR-T作製は健常人末梢血単核球を刺激し、レトロネクチン結合レトロウイルスプレートを用いることでTCR遺伝子導入T細胞を作製した。マウスへのTCR-Tの投与は腫瘍投与7日目に実施し、TCRとしてA12.87とコントロールとしてサイトメガロウイルス特異的TCRを用い、各群5匹ずつで行った。TCR-Tはマウス1匹あたり1x10^6個投与した。28日目まで腫瘍サイズを観察したところ、有意にA12.87で腫瘍の増大が抑えられた。 <ヒト応用用ウイルスベクター作製>臨床応用を見据えた対策として、従来のレトロウイルスベクターから実際に臨床応用できるタカラバイオのレンチウイルス発現システムpLVproに載せ替えを行った。臨床応用を目指しているAFPとhTERT特異的TCR3種(D3.55・D3.14・A12.78)に加え、コントロールとしてのサイトメガロウイルス特異的TCR(A2.CMV)の4種を作成した。 <遺伝子改変TCR発現ベクター作製>ペプチドワクチン症例のscRNA-seqデータより長期にわたって機能するT細胞でNOSIP、IL7R、CD62Lの発現が亢進していることが判明したことから、これらの遺伝子をクローニングし、pLVpro-TCRベクターの下流にIRES-目的遺伝子として挿入することとした。これらのベクター作製に順次着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Aim1-2に関しては大部分を完了しており、Aim3に注力する段階に至っており、これはおおむね予定通りである。今後2024-2026年度にかけて、TCR-T、遺伝子改変TCR-Tの効果を検証し、ICIとの併用についても検討を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
Aim1-2に関しては大部分を完了しており、Aim3に注力する段階に至っており、これはおおむね予定通りである。今後2024-2026年度にかけて、TCR-T、遺伝子改変TCR-Tの効果を検証し、ICIとの併用についても検討を行っていく。 <2024年度>新しく作成したレンチウイルスでのTCR-Tの機能評価を行う。まずin vitroでのHepG2への細胞傷害活性を確認し、in vivoでのマウス担癌モデルでの有効性を確認する。遺伝子改変TCR発現ベクターの作製を行う。引き続き、ICI治療例の臨床検体の解析を行う。<2025-26年度>遺伝子改変TCRベクターの効果を検証する。ICIとの併用療法の効果を確認する。結果をまとめ、論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験は動物実験を含め順調に成果がみられたため、予定よりも若干物品費が少なくなった。次年度は、動物実験の費用や抗体・試薬を用いる実験が増える予定であり、その分の費用として使用する予定である。
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