研究実績の概要 |
本研究の対象疾患である原発性胆汁性胆管炎(PBC)は中高年女性に多く成人病の合併頻度も相対的に高いことから、高酸化ストレス状態に陥りやすいと推察される。ウルソデオキシコール酸(UDCA)は従来からPBCの基本治療薬として世界中で広く用いられ、肝Nrf2活性化を促進して酸化ストレスを減弱させることも報告されているが、UDCAの薬効発現には腸肝循環の担保が必要であり進行期には効果が減弱する。 そこで、安全な成分を用いて効率的かつ長期的にNrf2賦活化する必要があり、本研究では臨床研究等提出・公開システムに正式登録(登録番号:jRCTs051210210)した上で、抗酸化剤の1種であるヘスペリジン製剤(株式会社林原 ヘスペリ美人)を、書面同意が得られたPBC患者75名に投与中である。幸いにも、これまで問題となる有害疾病等を呈することなく経過している。 現在は各種の診療情報を収集している段階にあるが、本研究では治療介入前後で血清を採取しており、肝胆道系酵素値の測定に加え、炎症性サイトカイン(IL-6, IL-1β, TNF-α, IFN-γ)の蛋白発現レベルを測定し、それらの変化率を比較する予定で進めている。 なお、これらの特定臨床研究実施計画に関しては、プロトコール論文として、既に以下の医学雑誌に投稿し、受領、公開されている(Medicine (Baltimore). 2022;101(48):e32127. doi: 10.1097/MD.0000000000032127.)。
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