研究課題
本邦において大腸がんは悪性新生物による死因の第2位で、進行再発大腸がんの予後は30か月程度であり今後の治療開発は重大な課題である。BRAF V600E変異陽性大腸がんは進行再発大腸がんの約5%と比較的希少な疾患で、大腸癌のなかでも極めて予後不良であり、現在の治療薬では十分な効果が得られないアンメットメディカルニーズである。急速に増悪をきたす患者も多く、二次治療以降で特に奏効を期待できる治療がないことが課題である。BEACON CRC試験は、エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ療法(3剤併用療法)およびエンコラフェニブ+セツキシマブ療法(2剤併用療法)は、化学療法歴のあるBRAF V600E変異陽性大腸がんの新たな標準治療として2020年12月に本邦で承認された。しかしながら、無増悪生存期間はともに約4か月であり早期に不応になることが報告されている。実臨床においても不応後は急激に全身状態の低下をきたし緩和ケアになる場合が多い。上述した通り、近年の化学療法の進歩によりBRAF V600E変異陽性大腸がんの生存期間は延長してきたものの、決して満足できるものではない。個別化医療の遂行のためには、がんの個性を的確に捉え、最適な治療を予測するコンパニオン診断法が必要になる。我々の研究チームが独自に構築したチロシンリン酸化プロテオミクス法を既存法と組み合わせる事による網羅的なリン酸化プロテオミクス解析は、世界的にも最先端研究を遂行している。現在、3剤あるいは2剤併用療法をうけるV600E変異陽性大腸がんの登録を継続している。
4: 遅れている
現在、3剤あるいは2剤併用療法をうけるV600E変異陽性大腸がんの登録を継続しているが、頻度の少ない対象のため進捗が遅れている。引き続き登録および解析を継続する。
今年度も引き続き3剤あるいは2剤併用療法をうけるV600E変異陽性大腸がん患者さんの研究登録を推進していく。
理由:患者登録がやや遅れているためです。使用計画:未使用額は次年度の物品費として充てさせていただきたく存じます。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Cancer Med .
巻: 13(7) ページ: e7107
10.1002/cam4.7107.
Am J Cancer Res.
巻: 14(3) ページ: 1174-1189
10.62347/NQBL9998. eCollection 2024.
Int J Clin Oncol.
巻: - ページ: -
10.1007/s10147-024-02509-z.
ESMO Open.
巻: 9(2) ページ: 102226
10.1016/j.esmoop.2023.102226.
Comput Struct Biotechnol J.
巻: 21 ページ: 2172-2187
10.1016/j.csbj.2023.03.006.