研究課題/領域番号 |
22K08086
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
入澤 篤志 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60295409)
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研究分担者 |
山部 茜子 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50794070)
久野木 康仁 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70856228)
増田 道明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80199702)
富永 圭一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90438698)
山宮 知 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90791707)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胆管ステント / 銀 / MPCコーティング |
研究実績の概要 |
胆道閉塞時に使用されるプラスチックステント(PS)は、安価であり留置手技も簡便であるが、開存期間は短いことが問題である。PS閉塞は内腔でのバイオフィルム形成が主たる原因であるが、PSの原材料であるポリエチレンに銀を練り込むことでその制御が可能となり、PSの長期開存が得られる可能性が高い。また、練り込まれた銀が感染胆汁内に溶出することで抗菌薬の使用を最小限に抑えられる可能性もある。更には、銀に加えて、蛋白質や細胞接着を抑制するリン脂質極性基を有するポリマー(MPCポリマー)で表面処理を行うことで、抗菌性および蛋白接着抑制といった2面から高い効果が期待できる。すなわち、銀を練り込ませたポリエチレンを用いたPSにMPCポリマー処理を施すことで、バイオフィルム形成の抑制効果が期待でき、かつ、PSから胆汁中に溶出される銀により抗菌薬投与同等の感染制御が得られる可能性が考えられる。 2022年度は、本研究における、1)PS表面への銀の経時的溶出程度測定、2)感染胆汁を用いた机上での抗菌評価、3)胆管炎モデル動物を用いた開存性能を評価、といった全工程のうち、全ての実験で用いるMPCポリマー処理を施した銀の練り込みPSを作成した。その上で、今後実施する机上および動物実験に使用するために必要十分な本数を用意した。また、机上実験として、実際の胆管炎患者から感染胆汁を用いて作成したPSの抗菌作用を評価するため、感染胆汁の採取・培養する工程を確立させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.MPCポリマー処理を施した銀の練り込みPSの作成に若干時間を要したこと. 2.感染胆汁の採取および培養工程確定に時間を要したこと
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今後の研究の推進方策 |
1.MPCポリマー処理を施した銀の練り込みPSを用いて、銀の経時的溶出についての検討を行う。具体的には、ポリエチレンに銀を練り込んだPS(2種類の濃度41%、4.5%)を用い、蒸留水に12週間浸し、1週間毎に経時的にPS表面を低真空走査電子顕微鏡(低真空SEM:日立社製 TM3000/ EDS,BURKER QUANTAX70))を用いて観察する。 2.感染胆汁中への銀溶出効果と抗菌作用についての検討を行う。MPCポリマーを施した銀練り込みPS、また、銀練り込みのみのPSを胆管炎患者から採取した感染胆汁に浸し、12週間培養を行う。1週ごとにPS表面を前述の方法で観察し、元素解析も行う。また、1週間毎に胆汁中の細菌叢の培養解析(ゲノム解析も含む)も行い、どのような細菌叢に対して銀イオン効果があるのかについても検討する。 3.MPCポリマーを施した銀練り込みPSの生体内における効果の検証を行う。ブタ6頭に内視鏡逆行性胆管造影を施行し、大腸菌溶液1.0ml(15-18×108/ml)を胆管内に注入し、内腔をボンドで閉塞させたPSを留置し胆管炎を発症させる。約12時間後に3種のPS(無処置のポリエチレンPS、銀練り込みステント(1%、4.5%)、MPCポリマーを施した銀練り込みステント(1%、4.5%))を、それぞれ2頭ずつに内視鏡的に留置する。その後は食事を与え8週間飼育する。飼育中は抗菌薬を用いずに銀による局所感染制御効果を採血等で確認する。その後内視鏡的に各々のステントを取り出し、ステント閉塞の有無及び電子顕微鏡を用いたバイオフィルム形成を検討し、生体内における銀練り込みPSの有効性を評価する。また、この際に胆汁も採取し、胆汁中の細菌叢解析も行う(培養、および次世代シークエンサーを用いたゲノム解析)。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験で使用するステントの購入費が、当初の予定より安価となったため。 次年度はステントを使用した机上実験および動物実験を行う予定のため、そちらに充当します。
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