研究課題/領域番号 |
22K08088
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70266617)
|
研究分担者 |
村橋 睦了 (伊賀睦了) 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20422420)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 膵臓癌 / 樹状細胞ワクチン / WT1 / neoantigen |
研究実績の概要 |
①高免疫原性の腫瘍抗原である「新規 WT1(Neo-WT1)」を標的とした樹状細胞ワクチンを併用した標準化学療法に関する臨床試験 進行膵臓癌に対して、WT1特異的CD4およびCD8T細胞を刺激することができるNeo-WT1ペプチドカクテルを同定し、Neo-WT1ペプチドカクテルをパルスした樹状細胞ワクチン療法(Neo-WT1-DC)と標準化学療法(GN療法:ゲムシタビン+アブラキサン)を併用した臨床試験を10例全例実施した。10例の末梢血単核球、血清、血漿を用いて、免疫学的誘導の解析を一部実施中である。その結果、IFN-γを産生する、WT1特異的CD4およびCD8T細胞が治療後に増加し長期に維持している症例は無増悪生存期間および全生存期間が有意に延長していた。更に、WT1特異的免疫反応の誘導が困難な症例は、治療後も血清中のIL-6およびIL-8が高値を維持していた。血清中のIL-6およびIL-8が低値の症例は無増悪生存期間および全生存期間が有意に延長していた。現在、免疫抑止の変化について解析中である。腫瘍縮小を認めた7例は、Conversion Surgeryが可能となった。この手術標本を免疫組織化学的に解析した結果CD68/CD163比が高い症例は術後の再発が現時点で認められていなかった。
②「ネオアンチゲン」を標的とした樹状細胞ワクチンを併用した標準化学療法に関する臨床試験 多臓器転移を伴う進行膵臓癌に対して、リキッドバイオプシーにてneoantigenを同定後、候補ペプチドを合成し樹状細胞にパルスした樹状細胞ワクチン(neoantigen-DC)を開発した。neoantigen-DCワクチンに標準化学療法(GN療法)を併用した臨床試験を3例実施した。治療を実施した1例は、遅延型過敏反応が陽性となった。現在、更なるエントリーを進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規 WT1樹状細胞ワクチンの免疫モニタリングは順調に進んでいるが、neoantigen樹状細胞ワクチンのエントリーが遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
新規 WT1樹状細胞ワクチンの免疫モニタリングに関して、免疫刺激に関する解析を完了し、免疫抑制に関する解析を実施する。neoantigen樹状細胞ワクチンのエントリーを推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新規WT1入場細胞ワクチンを実施した進行膵癌患者の末梢単核球の免疫解析実験の予備実験を実施した。WT1 tetramer陽性細胞中のIFN-γ産生細胞の実験方法の確立に時間を要した。さらに、neoantigen樹状細胞ワクチンのエントリーが遅れた。以上の理由にて、次年度使用額が生じた。次年度ではneoantigen樹状細胞ワクチンのエントリーを更に実施する。
|