研究課題/領域番号 |
22K08094
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 健太郎 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30582861)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 心磁図 / ブルガダ症候群 / 心房細動 |
研究実績の概要 |
Brugada型心電図を有する患者に対して実施された心磁図データを使用して、後ろ向き研究を実施した。取得情報のフィルタリングを調整することでQRS-T波形の高周波成分と低周波成分を抽出して、その差分をdelta-QRS(msec) と定義した。このdelta-QRSと既知のリスク因子(type 1 ECG, ピルジカイニド試験, 家族歴、VF誘発性)との間には有意な関連性が示され、心磁図検査がBrugada型心電図を有する患者のリスク層別化に貢献できる可能性が示唆された。本研究結果は、Yoshida et al. Magnetocardiographic risk stratification in patients with Brugada-pattern ST-elevation. J Interv Card Electrophysiol. 2024 Jan;67(1):35-37. に公表された。 同様の解析手法を利用して、心房細動に対してカテーテルアブレーション治療を実施した患者における肺静脈再伝導の非侵襲的検出を目的とした研究を実施した。心磁図検査はアブレーション治療の前後に実施され、P波の幅、amplitudeなどの指標を詳細に評価することで治療慢性期に生じる再伝導を検出できることを明らかにした。本解析手法はBrugada症候群に対しても応用可能と考えられるため追加の検証を行っていきたい。結果は、Yoshida et al. Noninvasive Detection of Pulmonary Venous Reconnections by Magnetocardiography After Catheter Ablation of Atrial Fibrillation. JACC Clin Electrophysiol. 2024 Feb;10(2):367-369. に公表された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連する論文2編を公表することができた。しかしながら、当初予定されていた3次元解析を可能とするプログラムの開発は予定よりも遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
超伝導技術によるSQUIDセンサーは、液体ヘリウムを使用するための維持コストが膨大である。近年、様々なセンサー技術の開発・発展があり、小型、低コスト、シールドルーム不要の心磁計の開発が進んでいる。心磁図の最大の長所である高感度と共に、利便性・簡便性を備えた心磁計が開発されれば臨床応用を加速させることができる。今後は工学領域との協業により、機器の開発においても研究を進めて、Brudaga症候群のリスク評価を検診レベルでも実施できるような形に発展させていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
オープンアクセスとするための費用が不要であったため、支出が予定よりも減少した。新型コロナ感染症が5類となったため、海外学会への参加を予定している。
|