研究課題/領域番号 |
22K08103
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤野 剛雄 九州大学, 医学研究院, 講師 (10721904)
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研究分担者 |
筒井 裕之 九州大学, 医学研究院, 教授 (70264017)
絹川 真太郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60399871)
遠山 岳詩 九州大学, 大学病院, 医員 (00828197)
松島 将士 九州大学, 医学研究院, 助教 (80552869)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重症心不全 / 貧血 / 心臓移植 / 予後 |
研究実績の概要 |
慢性心不全における貧血が重要な予後不良因子であることはよく知られているが、心臓移植を必要とする重症心不全における貧血の合併頻度や予後への影響は明らかではない。本研究の目的は、心臓移植待機中の重症心不全患者における貧血の頻度や予後への影響について明らかにすることである。まずは、当院で心臓移植登録を行った症例のデータベースを構築し、後ろ向き解析を行った。 2011年から2022年までに当院で心臓移植登録を行い、補助人工心臓を装着せずに心臓移植待機を行った症例を対象とした。重症心不全患者において貧血の合併頻度は高く、また鉄欠乏の割合が高いことが明らかとなった。生存曲線による解析で、ヘモグロビン値が低い群では心不全入院回避率が有意に低値であることが明らかになった。また、多変量解析を行い、貧血は心臓移植待機中の独立した重要な予後因子であることが明らかとなった。貧血への介入が予後を改善するかどうかは今後前向きにデータベースを構築し、検証する予定である。最近はSGLT-2阻害薬が新たな心不全治療薬として登場し、貧血を改善する効果があることが知られているため、この薬剤の影響も検証する必要がある。 同時に、構築したデータベースを用いて、心臓移植待機中および心臓移植後の予後に影響するその他の因子についても研究を継続して行っている。 本結果は、アメリカ心臓病学会(2023年11月、フィラデルフィア)にて発表した。現在、論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心臓移植を待機している重症心不全患者の貧血の頻度や重症度、また心臓移植待機中の予後への影響に関して後ろ向き調査を行い、データを統計学的に解析した。今後は多施設での検討を行うこと、また前向き登録のデータベースを構築する予定である。また、今年度中に重症心不全患者の貧血の機序について基礎的研究を開始する予定であったが、臨床データの解析に時間を要したため、来年度に開始することとした。
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今後の研究の推進方策 |
当院のデータを用いて、心臓移植待機中の重症心不全患者において、貧血が重要な予後因子であることを解明した。今後はより詳細に貧血の機序を明らかにするため、前向き登録データベースの作成、また患者のサンプルを用いた基礎的研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
貧血の原因に関する基礎研究を開始する予定であったが、研究計画がやや遅れており基礎研究の開始が翌年度となったため、繰越金が生じた。翌年度に予定通り基礎研究を開始するために利用する予定である。
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