研究課題/領域番号 |
22K08108
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
牛込 恵美 (白石恵美) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80440890)
|
研究分担者 |
福井 道明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30247829)
濱口 真英 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80350883)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 動脈硬化 / 腸内菌叢 / 食塩過剰摂取 |
研究実績の概要 |
16週齢の雄性ApoE欠損マウスに高脂肪高ショ糖食の食塩含有量を0.3% gmから4.0% gmに増加させた食事を給仕し、動脈硬化および腸内菌叢を比較検討した。この結果、食塩4.0% 食群では動脈硬化の悪化とともに、腸内細菌叢の障害・Dysbiosisが観測された。このことから食塩の過剰摂取は血圧の上昇とは別に腸内細菌を介して動脈硬化を悪化させる可能性が指摘された。このため、申請者は腸内細菌叢を調整するプレバイオティクスによる動脈硬化抑制について注目して研究を継続した。申請者らは、食物繊維、中でも発酵させた茶葉を直接摂取する抹茶に注目し、抹茶摂取による腸内細菌叢の変化と動脈硬化の関連を検討した。16週齢の雄性ApoE欠損マウスに抹茶を混餌した飼料を給仕し、動脈硬化および腸内細菌叢および腸内の代謝産物を評価した。この結果、抹茶の摂取により動脈硬化は抑制され、腸内細菌叢が変化することが明らかとなった。腸内細菌叢をショットガンメタゲノム法により評価したところポリアミン産生にかかわる菌機能が抹茶摂取で増加する可能性が得られた。また、抹茶の摂取により小腸内でポリアミンが増加している可能性を示す所見が得られた。これらと関連して、抹茶の摂取により小腸の慢性炎症が抑制される所見が得られた。抹茶の摂取では動脈硬化が抑制されるが、動脈硬化巣での遺伝子発現が調整されていた。尚、抹茶による脂肪酸トランスポーターの発現状況について現在確認している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は概ね順調に進捗していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
食塩の増加によるDysbiosisと動脈硬化の悪化について機序を確認し、論文にまとめて投稿中である。抹茶の摂取により動脈硬化の抑制についても、抹茶摂取による腸内細菌の変化、特にポリアミン産生菌が増加することと実際に腸管内でポリアミンが増加することを確認し、その機序をまとめて論文として投稿する準備を進めている。この検討において、申請者らの有する独自技術である質量分析法によるメタボローム・リピドーム解析を用いている。この手法により、小腸内のポリアミンの定量を行う。また、抹茶の摂取により小腸の慢性炎症が抑制される所見が得られており、これについての検討を継続して行う。抹茶の摂取では動脈硬化が抑制されるが、動脈硬化巣での遺伝子発現が調整されるが、この調整について、遺伝子の機能及び相互作用から、どのような機序で抹茶摂取により動脈硬化巣の遺伝子発現が調整されるかを検討中である。特に抹茶摂取により変化する腸管内のメタボライトと腸管の慢性炎症の抑制、その結果として吸収されるメタボライトが変化すると予想されるが、抹茶摂取によりポリアミンをはじめとしてどういったメタボライトの吸収が変化するかと変化したメタボライトが動脈硬化巣での遺伝子発現に与える影響に注目して研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品代が比較的安価に抑えられ、経費が削減出来たため、次年度使用額が生じた。次年度の研究費として使用予定である。
|