研究課題/領域番号 |
22K08117
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
原 哲也 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (70547504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 血栓 |
研究実績の概要 |
研究代表者は先行研究において、世界初のDVTの病態を再現した生体血栓イメージングモデルの開発に成功した。研究代表者はこの技術を用いて「好中球と血小板は血栓内への浸潤に互いの存在が必須である」という多細胞ネット ワークを前実験において発見した。それゆえ、好中球―血小板相互作用が血栓器質化の規定因子であると考え、その分子機序を解明を進めた結果、前年度までに 1.抗好中球抗体により血液中の好中球を除去し、血栓の線維化やマクロファージ浸潤など、血栓の器質化反応の変化を生体イメージングや病理解析等により解明を進めたところ、好中球除去により、小型の血栓が形成される傾向にあった。血栓中の赤血球含量の増加を認め、器質化過程の遅延化が起こることが推定される。 2. 抗血小板抗体で血液中の血小板を除去しても血栓は形成されるが、血栓が辺縁不明瞭になるなど、形態的特徴が変化して いることが明らかになった。そこで、今年度は、直接的なNETsの生体イメージングや、DNase阻害により、NETsの関与を検討した。NETsの直接的な生体イメージングは過去の論文でも数少なく、観察はできなかった。おそらく、実際にNETsが起こっている瞬間に撮影しないといけないことから、NETsが起こる瞬間は非常に短く、その瞬間を偶然に捉えることにlimitationがあると思われた。次にDNAse阻害剤を用いて血栓量を比較したが、DNAseのマウス生体内投与によって、血栓サイズは変わらず、直接的な血栓量への影響は乏しいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接的なNETsの生体イメージングや、DNase阻害により、NETsの関与を検討したが、NETsの直接的な生体イメージングは過去の論文でも数少なく、観察はできなかった。おそらく、実際にNETsが起こっている瞬間に撮影しないといけないことから、NETsが起こる瞬間は非常に短く、その瞬間を偶然に捉えることにlimitationがあると思われた。次にDNAse阻害剤を用いて血栓量を比較したが、DNAseのマウス生体内投与によって、血栓サイズは変わらず、直接的な血栓量への影響は乏しいことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、DVT器質化過程における炎症細胞の役割の解明を進める。代表的な炎症性サイトカインであるIL-6に着目し、IL-6投与によって血栓の器質化などがどう変化するのかを追加検討することによって、炎症細胞や炎症反応と血栓の器質化の関連性を解明していく。また、糖鎖が好中球と血小板の相互作用に関与しているとの報告もあり、糖鎖と血栓への影響を解明することで、DVTの病態解明を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画の7割程度を使用しており、計画から大きな変更はないが、消耗品の購入を最低限に抑えることで、次年度以降の若干の追加支出に対応できるようにした。 残額3割程度は翌年度以降に計画に従って使用していく。
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