研究課題/領域番号 |
22K08125
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
匹田 貴夫 岡山大学, 研究推進機構, 特任准教授 (00437005)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 血管内皮細胞 / 細胞極性 / 炎症 / メタボリックシンドローム / 機械学習 |
研究実績の概要 |
メタボリックシンドロームモデルマウスにおけるPAR-3欠損の影響(1-2年目) 初年度においては、初代培養血管内皮細胞に対してコントロールsiRNAまたはPard3 siRNAをトランスフェクションにより導入した。次に、これらの細胞を特殊なチャンバーに移し、層流または乱流を付加した条件下で培養した。現在、これらの培養細胞本体および培養上清を回収し、発現変動の認められる成長因子の解析を進めている。 次に、予備実験として、野生型マウスを食餌誘導型メタボリックシンドロームモデルマウスとした。経時的に体重、血糖値および血中コレステロール量の変化を調べメタボリックシンドロームの進展に関わる基礎データを得た。また、同マウスより内臓脂肪および腎臓、肝臓を採取し、免疫細胞により血管内皮細胞のaxial polarityとマクロファージ浸潤の関連を解析している。 さらに申請者は、組織における血管構造の最適化とその破綻による病態進展に着目し、研究を発展させている。血管新生の過程において、当初過剰に血管が形成された後に、プルーニングと呼ばれる不要な血管の刈り込みプロセスを経て、血管網の最適化が起こる。申請者らは、マウスの網膜血管網をモデルとし、免疫染色によりプルーニングされた血管を可視化し、機械学習モデルを用いてプルーニングサイトの予測モデルを確立した。今後、PAR-3ノックアウトマウスの血管網を用いて同様の解析を行い、血管内皮細胞の血流感受性が血管の成熟・リモデリングにおける役割を明らかにする。さらに、虚血により誘導される新生血管は病態の進展に重要な役割を果たす事が知られているが、PAR-3はこれら病的な新生血管の成熟に重要な役割を果たす可能性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食餌誘導性にメタボリック症候群を引き起こすマウスの条件が確立されつつある。 また、PAR-3をノックダウンした血管内皮細胞を液流付加条件下で培養する手法を確立した。 さらに、PAR-3を血管内皮細胞特異的にノックアウトしたマウスの網膜血管網をモデルとして、機械学習により血管のリモデリング(刈り込み)が生じる部位を予測するAIを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
PAR-3欠損血管内皮細胞が分泌する因子をRNAシークエンス解析により網羅的に同定し、バイオインフォマティクスによりランク付けを行う。さらに阻害剤およびsiRNAを駆使したin vitro共培養系によりこれら分泌因子の脂肪細胞の炎症に対する影響を検討する。 また、同分泌因子のメタボリックシンドローム進展における役割をモデルマウスを用いて検討する。 さらに、肥満により虚血状態となった脂肪組織内部での血管リモデリングにおけるPAR-3の役割を明らかにする事で、慢性疾患において局所での血管新生が炎症を亢進させるメカニズムの存在を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共通機器の活用により当初予定していた実験のコストが抑えられたため。
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