研究実績の概要 |
心外膜接続(EC)の存在を規定する因子を特定すべく、実臨床で心房細動に対するカテーテルアブレーションを施行した患者群を対象に、造影CT上の解剖学的特徴を検討した。心房細動に対しカテーテルアブレーションを施行した251例を後ろ向きに解析し、右肺静脈前庭部円周状アブレーションでは肺静脈隔離に至らず、アブレーションラインより10mm以上内側のcarina領域への通電で肺静脈隔離に至った症例をEC(+)群と定義した。結果、251例中45例(17.9%)にECを認めた。CT解析の結果、EC(+)群で右肺静脈分岐角度(right pulmonary vein bifurcation angle: RPV bifurcation angle)は有意に大きく(47.7 vs. 38.8度, P < 0.001)、右肺静脈前庭部面積に占めるcarina領域面積比(area occupation ratio of the carinaregion to the RPV antrum: ARC)は有意に大きかった。(37.2% vs. 29.7%, P < 0.001)また、右肺静脈carina領域から開口するmid RPVの頻度もEC(+)群で高かった。(17.7% vs. 6.3%, P = 0.032)多変量logistic regression解析では、RPV bifurcation angle (odds ratio: 1.994, P = 0.002)と、ARC(odds ratio: 3.490, P = 0.013)が独立したECの規定因子であった。 これらの結果は心房細動アブレーションの治療戦略に寄与できる知見として、現在論文投稿中である。
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