研究課題/領域番号 |
22K08141
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
永嶋 孝一 日本大学, 医学部, 准教授 (90753989)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心房細動 |
研究実績の概要 |
昨年度は、心房細動(AF)中にその起源となっている部位はどのような電位の振る舞いをしているのかを解析した。80例のAF患者(発作性52例、持続性28例)で、肺静脈隔離(PVI)前に、洞調律(6843+/-3253点)とAF中(8866+/-7518点)の局所電位を取得した。 CARTOマッピングガイド下にPVI後、34症例で自動能(計46か所、隔離されたPV内37か所、左房内の期外収縮9か所)を認め、これらを通電して消失させた。これらの自動能の領域はAF中のドライバーになっているという報告から、通電成功部位をタグ付けし、その部位の術前の洞調律中とAF中の振る舞いを解析した。捉えられた自動能の52%において、起源は上下PVの分岐部に存在し、PVの末梢には存在しなかった。また自動能を認めた部位では、AF時に比較的高い局所電位波高(1.5±1.0 mV)を示し、同部位から半径5mmの周辺部において、平均電位波高0.5±0.3 mVと、低電位領域内の比較的高電位領域に存在した。つまり、AFのドライバーは、周辺部位の3.0±1.7倍の電圧勾配をもつ箇所であることが同定された。またCARTOのCFAE moduleのInterval confidence levelを用いて、AF中の局所電位を解析すると、自動能のあった部位では10.8±12.5、周辺領域では36.2±22.0と有意に低かった。この結果は、ドライバー領域ではAF中に興奮周期が比較的そろっており、カオス性が低いことを示す。この結果は2023年3月開催の第87回日本循環器学会で口述発表した。 ただ、これらのドライバーの部位はどういった秩序で興奮しているのか、いまだにその秩序を解明することができておらず、現在当大学生産工学部と共同研究を始めたところである。ここからが資金が必要と考えられ、昨年度は研究資金の使用を控えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進行しているが、一番の問題は、多数の患者データを取得し、AIにかける場合は、全ての患者で同一の部位からデータを取得しなければならない。しかしながら、1症例あたり、左房の局所電位は8000点ほど取得しており、その部位を患者ごとに一致させることは難しく、その方法を生産工学部と共同研究を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、この80例のデータをCARTO finderというmoduleを使い、各点10秒間記録した電位を使用する(すでに取得済み)。このデータであると、取得局所電位ポイント数は減少するものの、症例のどの位置から取得したデータであるかを、三次元座標データも紐づけされており、これを使用して、具体的全ての点の電位情報だけでなく、空間的情報も得ることができる。これにより相互相関作用についても解析できると考えられる。 CARTO finder情報も踏まえ、心房細動のドライバー領域の電位をより、明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね順調に進行しているが、一番の問題は、多数の患者データを取得し、AIにかける場合は、全ての患者で同一の部位からデータを取得しなければならない。しかしながら、1症例あたり、左房の局所電位は8000点ほど取得しており、その部位を患者ごとに一致させることは難しく、研究計画を練り直している。また解析方法を生産工学部に解析方法を共同で解析方法を議論している。そのため、前年度のPC資金を翌年度に繰り越し、解析すべき方法が固まり次第、PCを購入することとした。
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