研究課題/領域番号 |
22K08141
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
永嶋 孝一 日本大学, 医学部, 准教授 (90753989)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心房細動 |
研究実績の概要 |
研究1 27人の心房細動(AF)患者(発作性AF11例、持続性AF16例)において、肺静脈隔離(PVI)後に観察されたPV内自動能40部位を、追加RFアブレーション焼灼した。PVI前にAF中に記録された心内電位を解析した。AF中、自動能のすべての部位は1.19±0.52mVと比較的高電位を示し、その周囲に低電圧領域(0.54±0.18mV)があった。CARTOFINDERモジュールが使用された20例中9例(45%)において、これらの部位はfocal activationとして同定された。また、PV自動能部位は、PVI前のAF中に平均周期長149±20ms(範囲108-194ms)、CFAEモジュールでのinterval confidence level (ICL) 13.3±2.3(範囲10-18)の特徴を有していた。 研究2 この結果をもとに研究2で、PVIにAFが持続する症例で、左房内の局所電位が、研究1で同定したAFドライバーの可能性を示唆した部位に追加のRFアブレーションを施行した。PVI後も心房細動が持続した患者において、電位1.2mV以上、ICLが特定の範囲内(50±25,患者1人当たり8部位)の両基準を満たす左房・右房の局所に追加アブレーションを行った。19例中6例(32%)でAFの停止(n=4)または心房頻拍への移行(n=2)に成功した。 AFのドライバーは高電位で比較的安定したサイクル長の領域に存在する可能性がある。このような特徴を示す局所電位を標的とした追加アブレーションは、AFドライバーをアブレーションするための潜在的戦略となりうる。現在このアブレーション戦略を継続し、より多くの母集団での妥当性を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生産工学部と共同で研究を行ってきたが、別患者の同じ部位からの局所電位の取得が難しいことから、汎用型のAIを使用することは予想よりも難航し、現在は汎用型AIの活用できていない。しかしながら、患者ごとの局所電位の形状だけでなく、その記録部位の位置情報もCARTO mappingモジュール上で得られるため、現在は、CARTO上のAIが判断した興奮頻度の高い電位部位かつ波高値が保たれる部位を特定し、アブレーションを行っている。この方法が心房細動の停止に寄与しているため、この方法を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
現在このアブレーション戦略を継続し、より多くの母集団での妥当性を検証している。現在までの本治療による心房細動停止の成績(30%)から推定すると、心房細動停止例が20例、計60例を目標に解析を進める予定である。また心房細動に移行した群と、心房細動が停止した群での臨床的特徴についても解析する予定である。この例数をもってして論文執筆、投稿予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年の米国不整脈学会に演題が採択されなかったためである。この原因は症例数のサンプルサイズ、特に心房細動停止例の小ささにあると考える。現在心房細動停止例は増加しているため、この研究費を、アジア環太平洋不整脈学会での発表に使用する予定である。
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