研究課題
本研究は狭心症または急性冠症候群患者各50例を対象とし、コレステロール結晶、リン酸カルシウム結晶、尿酸塩結晶、血管炎症について種々の画像診断法を組み合わせ、また画像検査を2回施行することで結晶と炎症の結びつきを実臨床で解明することを目的として、実施している。コレステロール結晶の画像評価は心臓カテーテル検査施行中に行う光干渉断層装置(OCT)または近赤外線分光計付血管内超音波(NIRS-IVUS)で行う。リン酸カルシウム結晶(いわゆる石灰化)の画像解析は心臓CTで評価している。尿酸塩結晶の画像評価法はdual-energy CTを心電図同期CTに応用し評価している。同時に、心臓造影CTの連続画像を用いてfat-attenuation indexを算出し、血管炎症の評価を追加している。ベースラインで患者末梢血より単離した好中球を用いて、好中球細胞外トラップ(NETs)を評価している。2024年3月現在狭心症6例、急性冠症候群11例を登録し、うち6例は登録1年後にCTを再検しフォローを完了した。ベースラインの評価では、高尿酸血症と痛風を合併する例では、非合併例と比較して、冠動脈における尿酸の蓄積性が有意に高いことを確認した。これらの結果公表の場として、2023年3月の日本循環器学術集会総会(神戸)のプレナリーセッションに採択された。患者末梢血より生好中球を単離し、酸化ストレス刺激を加えることでNETsを誘導する測定によって、狭心症に比べて急性冠症候群の患者群でNETsが増大している。次に、コレステロール結晶で刺激を行うことにより量依存的にNETsの誘導性が上昇することを確認した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおり、登録は次年度6月までとしている。COVID19の影響もあり、研究開始当初は登録が思うように進まなかった。初期設定よりも少ない登録症例数ではあるが、統計学的に有意な結果が得られている。
今年度は登録済み患者のフォローアップを中心に研究を続行する。
想定よりも登録症例が少なかったこと、狭心症と急性冠症候群症例のうち、狭心症症例の初回CTについてのみ科研費より撮影費用を支弁することとしていたが、狭心症症例の登録が少なく、その分支出が抑えられた。最終年度は血清評価なども追加しまた研究を総括し学会報告や論文化を進めていく予定である。2023年度よりも出費が多くなる見込みである。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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