研究課題
心不全の病態において不良なタンパク質の蓄積が関与しており、心不全の発症進展を防ぐために心筋細胞内の恒常性維持機構が備わっている。オートファジーは、タンパク質の品質管理機構の重要な仕組みであるため、オートファジーの異常は心不全を含めて様々な疾患と関連する。タンパク質のN-ミリストイル化は重要な翻訳後修飾であるが、心筋細胞におけるミリストイル化基質タンパクの網羅的解析により、オートファジーに関連するタンパク質GLIPR2をその候補分子の一つとして同定した。本研究はオートファジーにおけるGLIPR2ミリストイル化の意義を解明し、心臓における役割を明らかにすることを目的とする。当該年度は、N-ミリストイル化GLIPR2のオートファジーにおける役割の検討を行なった。N-ミリストイル化を受けない変異型GLIPR2の意義を評価するため、N末端2番目のグリシンをアラニンに変異させたG2A変異型、N末端3番目のリジンをアルギニンに変異させたK3R変異型、その両方を持つG2A/K3R変異型GLIPR2のコンストラクトを作成した。このコンストラクトをH9c2細胞に導入し、細胞内局在、オートファジー関連分子、生存率を評価した。オートファジー促進/抑制状態やAngiotensin IIなどの病的状態での意義も検討している。
2: おおむね順調に進展している
N-ミリストイル化不全GLIPR2コンストラクトを用いた実験系を確立でき、病態での意義が評価できる状態となっているため。
動物モデルにおけるN-ミリストイル化不全GLIPR2の病的意義の検討、N-ミリストイル転移酵素 (NMT) をターゲットとした遺伝子治療によるN-ミリストイル化促進による心不全モデルマウスのレスキューを予定する。
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Clinical Research in Cardiology
巻: 111 ページ: 1104-1112
10.1007/s00392-022-02023-0