研究課題
心血管イベントの二次予防にスタチンによるLDLコレステロール低下療法を行っても心血 管イベントを再発症する、いわゆる残余リスクが臨床上の課題となっている。我々は残余リ スクにHDLコレステロールが関与している事を報告している。高中性脂肪血症治療薬である 選択的PPARαモジュレーターは、HDLコレステロール増加作用を有するが、残余リスクに及 ぼす影響については不明である。プラークの安定性はコラーゲン量に依存することが報告さ れており、偏光感受性光干渉断層法(PS-OCT)は、複屈折性を検出することでプラーク内のコラーゲン量、すなわちプラーク安定性を定量評価する事が可能である。本研究の目的は選択的PPARαモジュレーターの持つHDLコレステロール増加作用がプラーク安定化に及ぼす影響を、 PS-OCTを用いたブタ動物実験および前向き二重盲検臨床試験にて明らかにし、選択的PPARαモ ジュレーターのdrug re-positioningによる残余リスクへの新たな介入方法を開発することである。本年度は臨床研究として、急性冠症候群急性期に、責任病変をSTENTにて治療した症例を対象に、非責任冠動脈をOCTで観察し各プラークを登録、スタチン治療を施行している群と施行していない群でのプラークの安定化を検討している。また、マウスにおいてHDLおよび中性脂肪とプラークの関係を病理学的観点から観察を行っている。
3: やや遅れている
ペマフィブラートによるプラーク安定化の検討に関して、動物における基礎研究はペマフィブラートのコンパウンドの入手が遅れており、実験が進んでいない。
動物を用いた基礎実験と臨床研究でのデータを比較して、ペマフィブラートによるプラーク安定化への影響をOCTおよび病理学的観点から検討する。
動物実験で使用する予定であった、コンパウンドの入手が遅れており、基礎実験が進んでいないため。本年度、コンパウンドが入手でき次第、動物実験に取りかかる予定である。
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