研究課題/領域番号 |
22K08173
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
都島 健介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50436482)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心不全 / エンドソーム / 小胞輸送 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
生理的ストレス、病的ストレスにおける心筋の筋小胞体、ミトコンドリア、エンドソームの動態を、電子顕微鏡によるイメージング技術の開発を行った。
(1)生理的ストレスとして、食事の状態の変化、生まれてから大人になるまでの生理的な肥大における心筋のミトコンドリアや筋小胞体の膜構造のダイナミクスを明らかにする。48時間の絶食したマウスに食事を与えてから2時間後、6時間後の心筋サンプルを採取し、電子顕微鏡で観察した。 (2)高脂肪食ストレス、圧負荷などの病的ストレスによる膜ダイナミクスに異常があるか観察する。高脂肪食負荷や血管拡張反応を阻害した高血圧マウスの心筋サンプルを採取し電子顕微鏡で観察した。
(1)絶食、再接触後の心筋では、ミトコンドリア内部にmulti vesicular bodyを内包するミトコンドリアが増加し、再接触により、まずミトコンドリア周囲でリボソームが出現し、ミトコンドリア内部でも見られ、Mitochondria derived vesicules様の多数のエンドソームが分泌される様子が見られた。(2)新生児期の心筋のミトコンドリアの変化についても観察を行った。マウスの場合、生まれてから離乳する3週間目までの間に心筋ミトコンドリアは3倍の大きさとなり、構造も緻密化する。しかし、心筋の肥大が最も盛んな7-14日の間の心筋では、ミトコンドリアは空砲に富み周囲を豊富なリゾチーム顆粒に埋められていた。タンパク合成の盛んな再接触後や新生児期の心筋成長の過程で、タンパク合成の盛んな時期にミトコンドリアではmultivesicular bodyを多く内包しミトコンドリアからの小胞分泌が盛んとなっている。今後は、分泌顆粒の形成や融合に重要なRabタンパクやSNAREの局在を明らかにし、遺伝子改変動物を用いて心筋ミトコンドリアの分泌顆粒形成に焦点をあてて解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膜構造ダイナミクス観察のための動物モデルの条件検討を行った。固定条件下での膜小胞免疫染色も完了している。
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今後の研究の推進方策 |
動物モデルを用いて、膜小胞のマーカーの免疫染色はうまくいっており、CLEMを用いた電子顕微鏡像との重ね合わせ技術を開発中である。3次元構築としては透過型電子顕微鏡による電子線トモグラフィーと走査型電子顕微鏡と使用したアレイトモグラフィーの両面からアプローチしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注していた試薬のロットに不備が見つかり納期が次年度に繰り越しとなったため。
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