研究課題
個体レベルの心筋細胞内の鉄動態制御と生理的な心機能恒常性維持機構とその制御の変容による心不全病態発症機構についての分子レベルを明らかにするため心筋特異的鉄関連遺伝子改変マウスを用いて解析を進めた。本年度は心筋細胞内二価鉄増加に伴う心筋収縮亢進の分子機構の解明ために心筋内のミトコンドリア機能解析を行った。心筋細胞内二価鉄増加マウス(Fbxl5 CKO; aMHC-Cre Tg)の心組織を用いて心筋細胞内の筋細胞膜下ミトコンドリア(SSM)と筋線維間ミトコンドリア(IFM)の分画に抽出し、それぞれの分画においてフラックスアナライザーによるミトコンドリア呼吸機能解析を行った。心筋細胞内二価鉄増加マウスのSSMの酸素消費速度(OCR)は対照群に比べ差異を認めなかったが、IFMのOCRについては明らかな低下を認めた。また、ミトコンドリア生合成、融合を含めたミトコンドリア関連分子のqRT-PCR解析やATP量測定を行ったが、明らかな差異を認めなかった。Caチャンネル関連遺伝子の発現解析を行ったところ、心筋細胞内二価鉄増加マウスの心組織において対照群に比べSerca2a蛋白の明らかな低下を認めた。以上より心筋細胞内二価鉄増加マウスの心筋収縮亢進のメカニズムとしてミトコンドリア関連機構とは別の機構が存在する可能性が示唆された。標的分子及びシグナル経路探索のため心筋細胞内二価鉄増加マウスと対照群の心組織を用いてプロテオーム解析とRNAseq解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は予定通り遺伝子改変マウスを解析し結果が得られ、プロテオームとRNA-seqの網羅的解析を行っており、おおむね順調に進展していると考えている。
マウス心臓サンプルを用いたプロテオームおよびRNA-seqより得られた網羅的データよりenrichment解析や遺伝子改変マウスの心臓の表現型とマッチするgene ontologyから候補因子群を抽出し、心機能亢進の分子メカニズムについて新規鉄動態関連因子や新規シグナル経路についてin vivo、in vitro の両方で検討を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件)
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