研究課題/領域番号 |
22K08210
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 達也 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40592473)
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研究分担者 |
矢野 俊之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40444913)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心筋ミトコンドリア / ROS |
研究実績の概要 |
糖尿病を合併した心不全は、原因や病態に関わらず心不全の予後が悪化することが知られているが、その機序は完全に解明されていない。近年、血糖降下薬であるSGLT2阻害薬の心保護効果が注目されているが、非糖尿病合併心不全に対しても同等の効果が期待できる薬剤であることが判明したため糖尿病合併心不全と非糖尿病合併心不全の差は解消されていない。そこで本研究では、糖尿病では心臓において活性酸素種(ROS)の産生が増加し、酸化ストレスが亢進する。ROSはミトコンドリア呼吸鎖複合体に作用し、電子伝達効率の低下と電子漏洩を介した更なるROSの発生を惹起させうる(ROS誘導性ROS放出)と仮説を立てた。 本年度は、拡張不全を呈する肥満2型糖尿病ラット(OLEFT)と非糖尿病ラット(LETO)の心臓のサンプルに対して、ミトコンドリアを単離し、酸化ストレスの状態、鉄の状態、これらの制御に関わる分子の発現を評価した。OLETFの心筋ミトコンドリアでは、LETOに比してROSによる障害を反映する脂質過酸化が有意に増加しており、最も反応性が高いROSであるヒドロキシラジカルの生成を触媒しうるミトコンドリアにおける非ヘム鉄の含有量が増加していた。リアルタイム代謝解析装置であるSeahorse Bioanalyzerにより評価したミトコンドリア呼吸能では、ADP依存性呼吸(state 3 respiration)が低下していた。 以上より、糖尿病合併心不全では、ミトコンドリアでの遊離鉄増加を伴い細胞障害性の高いROS(ヒロドロキシラジカル)の産生が亢進しミトコンドリア機能障害を惹起することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19禍において臨床業務へのエフォートが増加したため、薬剤介入を行う実験が困難であった。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症の2類→5類への移行、実験に従事できる人員の確保により、遅れを挽回できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はOLETFにミトコンドリア移行性のある抗酸化作用物質(イメグリミン、抗酸化作用を有する5-アミノレブリン酸(5-ALA)、組織移行性の高い抗酸化剤EUK-134等)を投与し、その心筋ミトコンドリアにおける鉄の状態およびROSの状態を評価する。
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