研究課題
(1)核磁気共鳴画像法を撮像した剖検冠動脈病変の画像特徴と、同部位と一致した冠動脈病理組織標本から蛋白質抽出を行い、高リスク冠動脈病変と非高リスク冠動脈病変の両者に対して網羅的蛋白を行なった。追加したネットワーク解析の結果、高リスクおよび非高リスク冠動脈病変に特徴的な蛋白質群が描出された。ネットワーク解析から冠動脈高リスクプラークに特徴的なグループを代表する蛋白質の免疫染色を行い、空間的特徴および発現の確認を行った。(2)高リスク冠動脈病変を近位部に有する冠動脈末梢では、そうではない冠動脈病変を有する冠動脈末梢と比較すると同程度の狭窄度を有する場合には冠動脈血流が低下していることが各種研究にて報告されている。T1強調MRIを用いた冠動脈病変の特徴と、冠動脈枝毎に心筋虚血の存在を評価する指標である冠動脈血流予備能比値(Fractional flow reserve: FFR)の関係性を検討した。結果T1強調MRIにより高リスク冠動脈プラークの存在(高信号プラーク:プラーク信号値/近傍心筋信号比(Plaque to myocardial signal intensity ratio: PMR)1.4以上)は冠動脈狭窄度を超えたFFR値低下の独立した危険因子であった。また冠動脈枝の心筋虚血を予測するFFR値0.80以下を予測するPMR値のカットオフは1.1であった。低侵襲画像診断法を代表する造影冠動脈CTの結果を併せても、T1強調MRIにて認識されるPMR値1.4以上の高リスク冠動脈プラークの存在は、FFR値低下の独立した危険因子であった。同報告をAtherosclerosis誌に報告した(Sugane, Asaumi, Noguchi, et al. Atherosclerosis. 2024. doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2024.117530.)
2: おおむね順調に進展している
冠動脈病理像と画像診断特徴量の蛋白質網羅的解析後に冠動脈病理像で空間的発現解析を行うことができた事、加えて冠動脈画像診断と機能的心筋虚血に関する新たな知見を報告できたため。
2024年度は(1)動脈硬化の生化学的特徴に関する研究は、これまで得られた知見が冠動脈硬化のみならずその他動脈硬化病変における外挿が可能かどうかの検証を行うこと、(2)臨床冠動脈画像診断を用いた研究では、機械学習法を用いることにより画像診断特徴量に着目した高リスク症例抽出技術の開発を行っていく。
予定より安価での購入ができたので残額が生じた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Atherosclerosis.
巻: 26 ページ: 111530
10.1016/j.atherosclerosis.2024.117530.
Cardiovascular Diagnosis and Therapy
巻: 13 ページ: 906~913
10.21037/cdt-23-125