研究課題/領域番号 |
22K08224
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研究機関 | 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター) |
研究代表者 |
浅原 孝之 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所, 副所長 (20246200)
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研究分担者 |
大竹 剛靖 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所 再生医療開発研究部, 主任研究員 (10771032)
小林 修三 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所, 所長 (60195782)
矢沢 正樹 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所 再生医療開発研究部, 研究員 (60944147)
Salybekov Amankeldi 医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), 湘南先端医学研究所 再生医療開発研究部, 主席研究員 (80850776)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心筋梗塞 / 糖尿病 / エイジング / シングルセル解析 / 再生微小環境細胞 |
研究実績の概要 |
臓器再生における再生微小環境の血液細胞群(血管内皮前駆細胞(EPC)、マクロファージ・リンパ球の抗炎症・免疫寛容細胞)のフェノタイプは、臓器・血管再生メカニズムにおいて重要な役割を担い、糖尿病・肥満・老化などの慢性炎症病態では、このフェノタイプ異常から再生環境不全が起こり、動脈硬化症・虚血性疾患の進行に繋がると考えられ、令和元年からの基盤Cでは、これを体系的に研究して来た。 前基盤研究の発展研究として、今最も技術的発展が著しいsingle cell 解析を利用することで、今までのbulk cell解析(混合細胞解析)とスケールの異なる情報の量と質を獲得できるようになる。本研究にsingle cell解析を用いることで、① 環境細胞群を、発現性の均一的な細胞群(クラスター)に分類・分布比較し ②クラスターごとの膨大なRNAseqデータのAI解析によるマーカー・発現性・分泌性の探索 ③ 健常と疾患データ比較による、単一細胞あるいはクラスターごとの分泌分子・細胞内シグナル・代謝などの異常探索、責任分子同定が可能になる。 本研究によって、再生環境細胞の各クラスターの網羅的機能(遺伝子発現・分泌・シグナル)を比較解析し、糖尿病・老化での再生不全メカニズムを明らかに出来る。sc-seqデータ解析からは糖尿病・老化による具体的な不全責任因子を同定することが可能になり、今後の創薬・細胞治療などによる再生環境治療などの発展に期待が出来る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究施設での心筋梗塞モデル実験を開始するために、動物実験申請等に数ヶ月を要した。いくつかの実験材料、挿管キット、コラゲナーゼII型、コラゲナーゼ/ディスパーゼ、その他各種消耗品など、必要なものの調達に一定の期間を要した。14週齢のC57BL/6N雄性マウス10匹および6週齢のC57BL/6N雄性マウス10匹を、オリエンタル酵母工業株式会社を通じてクレアジャパン株式会社(東京都)から入手し、適切な順応を確保に1週間標準的な環境で飼育されました。適応期間中、すべてのマウスに標準的なげっ歯類用飼料を与え、餌へのアクセスを自由自在にし、標準的な環境下で維持しました。実験動物に糖尿病(DM)を誘発するために、特定のプロトコルを実施しました。6週齢のC57BL/6Nマウスの1週間の順化期間後、8日目に脂肪60%からなる高脂肪食(HFD)を開始し、15日目にストレプトゾトシン(STZ)を50mg/kgの用量でマウスに単回腹腔内注射を行なった。その後マウスにHFDを完成2ヶ月間摂取させている。 実験期間中、DM群の体重(BW)と血糖値(BS)は、週に2回尾静脈から5μlの血液を採取してモニターし、健康なC57BL/6Nマウス群には、DM誘導の手順を踏むことなく、標準的なネズミの餌を与えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、DM誘導期間終了後の急性心筋梗塞(AMI)誘発の確認実験およびシングルセル解析のための細胞分離・解析処理の予備実験を行っている。予備実験の結果を受けて、次の2点を決定し実験を進める。 1. シングルセル解析の予備実験で、細胞群の分布を確認し、シングルセル解析のターゲット細胞群をフォーカスし、本番実験での細胞分離における実験方法の再検討を行う。 2. 実験方法の再検討を受けて、本番実験は8月から9月にかけ進行させる予定である。慎重に設計された研究計画に従うことで、AMI再生微小環境に対する糖尿病の影響をシングルセルレベルで洞察し、循環器研究分野の進歩に貢献する可能性があることを目指す。 その後は、細胞解析についてナレッジパレット株式会社と検討を重ね、今後の研究方針を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の研究進行において、施設内動物実験真性および実験資材および技術確認については予定通りでしたが、予備実験の進行の都合で2023年3月までにシングルセル解析の予備実験を進めることが出来ませんでした。その解析にかかる経費および動物実験経費が2023年4月以降の利用されることになりました。 そのため、2023年4月からのシングルセル解析及び心筋梗塞モデル実験などの予備実験および本番実験に助成金を利用するため、2022年度の助成金使用を全て控えています。2023年度の経費はこの予備及び本番実験の経費と、細胞解析の経費に利用します。
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