研究課題/領域番号 |
22K08240
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加畑 宏樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60528537)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ILC2 / シングルセル解析 / IL-5 / IL-13 / TSLP / IL-4 |
研究実績の概要 |
2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cell, ILC2)は、IL-33やIL-25などの上皮細胞由来サイトカインの刺激によって多量の2型サイトカイン(IL-5、IL-13など)を産生するリンパ球であり、気管支喘息やアレルギー疾患の病態に関与していると考えられている。 本研究では、ヒトILC2の多様性に着目し、2型サイトカインを多量に産生する高病原性 ILC2の特徴をSingle cell解析技術によって明らかにし、高病原性ILC2を特異的に制御する遺伝子を同定し、新しい治療ターゲットを創出することで、気管支喘息やアレルギー疾患のより良い治療につなげることが目的である。 今回、喘息患者と非喘息患者の末梢血からILC2を単離し、LCI-S及びRNA-seq解析を行った。その結果、①末梢血中のILC2の数には差がない、②喘息患者のILC2はIL-5やIL-13を産生するILC2の割合が高い、③喘息患者のILC2はIL-4受容体の発現が高いことが明らかになり、JACI Global誌に報告した。さらに、LCI-S解析によってサイトカイン産生が高い高病原性ILC2とサイトカイン産生が低いILC2を比較することにより、いくつかの発現変動遺伝子を同定した。今後、これらの遺伝子に関しての機能解析などを進めていく。また、ILC2のステロイド抵抗性に関与するサイトカインとして以前TSLPが関与していることを報告しているが、2022年に抗TSLP抗体が重症喘息に対して使用可能となった。TSLPは本研究においても重要なターゲットサイトカインであり、抗TSLP抗体に関する総説をAllergology International誌に報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ILC2のLCI-S解析及びRNA-seq解析が終了し、研究計画通りに進捗しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの実験によって高病原性ILC2に特徴的な遺伝子が同定された。 今後、本研究計画に沿って、さらなるin vitro及びin vivo解析を進めていく。
|