研究課題/領域番号 |
22K08243
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
河野 雄太 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60408151)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Galectin-8 / オートファージ / 喫煙 / SEC22B |
研究実績の概要 |
COPD病態の本態は主に喫煙による慢性末梢気道炎症であるが、末梢気道炎症に細胞老化、アポトーシス、下気道感染などが複合的に病態形成に関与する。我々は、喫煙刺激がマクロファージのオートファジーを障害し、ガレクチン8の分泌を誘導することを見出している。実際、ガレクチン8はCOPDの肺で発現が亢進しており、ガレクチン8が気道上皮細胞のIL-6産生や非アポトーシス細胞死を誘導することを確認している。しかし、COPD病態における、ガレクチン8の役割の全体像は十分に解明されていない。本研究では、喫煙刺激によるオートファジー障害のガレクチン8分泌亢進メカニズムや、ガレクチン8の作用のさらなる検証を行う。 2022年度は、オートファジーが細胞外小胞(EV)の分泌に関与されていることが報告されているため、EVに注目し検証を行った。CSEで刺激したPMA-U937の培養上清中に含まれるEVを超遠心法で採取し、解析を行った。EVの分泌量はEV分画のCD63の発現やナノトラッキング法を用いて検証したが、EVの分泌はCSEの濃度依存性に亢進した。また、EV内にガレクチン8が存在することが確認したが、高濃度のCSEでは、EV内のガレクチン8はむしろ減少した。喫煙刺激によるガレクチン8の分泌機構はEVを介すものではないと考えられた。 2023年度は、secrtory autophagyに関与することが報告されているSNAREタンパク質のSEC22Bに注目し検証を行った。PMA-U937にCSEで刺激をすると、SEC22Bがup-regulationされることが確認された。SEC22Bのノックダウンを行ったところ、LC3、ガレクチン8の増加を認め、ガレクチン8の分泌は増加した。SEC22Bはオートファジーを介し、ガレクチン8の分泌にも関与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、ガレクチン8の分泌はEVを介すと想定していたが、実験結果はこれに反し、他の分泌機構を検証したため。
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今後の研究の推進方策 |
SEC22Bのover expressionの検証など、SEC22Bに注目し、研究を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を見直したために、やや研究が遅れている。このため、助成金の残余が発生している。SEC22Bの作用の検証のため、残余金は使用する。
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