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2023 年度 実施状況報告書

Conditional Reporgramming法による線毛機能不全症の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K08244
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

近藤 光子  東京女子医科大学, 医学部, 特任教授 (50178430)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード原発性線毛機能不全症 / 線毛細胞 / 細胞培養 / 線毛運動
研究実績の概要

原発性線毛機能不全症(Primary ciliary dyskinesia; PCD)は希少遺伝子疾患であるが多彩であり、遺伝子検査、鼻腔NO測定、線毛の透過型電子顕微鏡による観察、免疫染色、高速ビデオを用いた線毛運動の解析など複数の検査を用いて検討することが望まれている。しかし、線毛自体の解析は感染などによる線毛の2次的損傷後の異常との鑑別が問題になる。これを解決するために培養細胞による解析が有用とされている。一方、気道上皮細胞の初代培養は、継代後の細胞増殖には限界がある。特に、疾患気管支から採取したPCDの気道上皮細胞は培養成功率が低い点も問題となっている。これらを解決するために、本研究ではConditional Reprogramming(CRC)法を用いて線毛細胞の培養、解析を行うことを目的とした。令和5年度は、本邦において最も頻度が多いとされるDRC1大規模欠損のPCD症例を対象に検討した。気管支鏡で採取した気管支粘膜生検組織をプロテアーゼ処理で、上皮細胞を単離し、CRC法を用いて基底細胞を増殖させた。その後、細胞をTranswellに蒔き、コンフルエンスの後にAir-liquid interface法に置換して、更に1ヶ月にわたって培養を継続し、線毛細胞へと分化誘導させた。次に作成した線毛細胞の線毛運動を高速ビデオで観察し、また形態学的観察も行った。その結果、DRC1 変異の培養細胞の線毛は振幅が小さく周波数が低下した運動を示していた。さらにこの細胞にDRC3 抗体による免疫染色を行ったところ、DRC3の線毛自体への染色が観察されず、N-DRC complexのassemblyの障害が疑われた。また、透過型電子顕微鏡での線毛の構造は特異的な異常所見は観察されなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本邦に多いとされるDRC1大規模欠損での線毛細胞の培養に成功し、線毛運動の解析や形態学的観察を実施中である。

今後の研究の推進方策

次年度以降はDRC1変異症例において、より汎用性が高い抗DRC抗体を用いて線毛の免疫染色を行い、補助診断となりうるか検討する。またPCD、DPB、その他の気管支拡張症症例においてもCRC法で上皮細胞を培養し、線毛運動や形態学的観察の他、培養シート上でのパーティクルの移動などを用いて粘液線毛輸送系全体の評価を試みる予定である。

次年度使用額が生じた理由

PCD変異蛋白を検出するための抗体を購入したが、positive controlでも免疫染色不良の場合があり、別の抗体の購入も検討している。そのため、次年度にその抗体購入用に残高分をまわすことにした。そのほか、培養関連の器具や試薬などを購入予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Practical guide for the diagnosis and management of primary ciliary dyskinesia2024

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Kazuhiko、Abo Miki、Date Hiroshi、Gotoh Shimpei、Kamijo Atsushi、Kaneko Takeshi、Keicho Naoto、Kodama Satoru、Koinuma Goro、Kondo Mitsuko、et al
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 51 ページ: 553~568

    • DOI

      10.1016/j.anl.2024.02.001

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 気道過分泌疾患のトランスレーショナルリサーチ2024

    • 著者名/発表者名
      近藤光子
    • 学会等名
      第64回日本呼吸器学会学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] β刺激薬で過剰分泌を呈した重症DPBの1例2024

    • 著者名/発表者名
      近藤光子、三好梓、黒川敦志、宮田文、辻真世子、 赤羽朋博、有村健、八木理充、桂秀樹、多賀谷悦子
    • 学会等名
      第64回日本呼吸器学会学術講演会
  • [学会発表] 気管支喘息における気道分泌 その基礎と臨床2023

    • 著者名/発表者名
      近藤光子
    • 学会等名
      第72回日本アレルギー学会学術講演会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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