研究課題
日中の低酸素(Daytime Hypoxia: DHx)により夜間活動期の活動量の低下と活動終了期での上昇応(Down and up response: DUR)がみられる。これは脳内アデノシンの低下を伴うことからアデノシン阻害によるリズム発振を考え無周期Cry1,Cry2ダブルノックアウトマウス(CryDKO)にカフェインを慢性投与したところ概半日、概日、さらに長い周期の活動リズムがみられた(bioRxiv https://doi.org/10.1101/2022.08.16.503987)。リズム周期は経時的に変化したが概半日から概日、または逆への変化は素早く起こっていた。概半日周期を再現する目的で6h:6h、7h7hの人工的明暗周期下でカフェイン投与を開始して数週間後CryDKOを恒常暗に移行させたが安定した概半日リズムの再現は見られなかった。一方様々な明暗周期下でカフェイン投与を続けると複数の明暗周期を跨ぐ周期的活動を示す個体がみられた。このことはリズムが発生して明暗周期に同調していることを示している。また、野生型c57bl/6jマウスにカフェインを慢性投与したところすでに報告されている活動周期の延長がみられたが、それに加えてカフェイン投与を中止しても3週間以上周期が戻らない(短縮しない)現象がみられた(Authorea DOI:10.22541/au.168154926.62049890/v1)。長期的な生物リズム周期への影響は光環境によるものが知られており、履歴現象(after effect)と言われている。カフェインによる周期延長の継続は光以外の因子による履歴現象であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
当初、DHxによる活動量のDURはアデノシン低下を介した概半日リズムが原因と考えられたがカフェインにより様々な周期のリズムが発振されるためアデノシン以外の因子も関与している可能性があることが分かった。
DHxによる活動量のDURの解析からカフェインによる行動リズム発振が見いだされたがアデノシンがDURに関連がある可能性に加えほかの因子が関与している可能性も考えて研究を進めていく。
当初、DHxによる活動量のDURはアデノシン低下を介した概半日リズムが原因と考えられたが概半日リズム解析のための条件検討の段階でアデノシン以外の因子が関与している可能性もあることが明らかとなったため。
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