研究実績の概要 |
近年、RNAウイルスセンサーであるretinoic acid-inducible gene (RIG)-Ⅰファミリーの一つであるMelanoma Differentiation-Associated Gene 5 (MDA5)に対する自己抗体測定が皮膚筋炎 (dermatomyositis; DM)において保険収載された。抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎合併間質性肺障害では、生存率28~40%と致死的な急速進行性間質性肺障害 (rapid progressive interstitial pneumonia; RP-ILD)の発症が多いことが臨床上大きな問題である。抗MDA5抗体は、DMにおける致死的なRP-ILD発症を予測する重要なバイオマーカーとして確立している。我々はこれまでDM-ILDの研究を行い、抗MDA5抗体陽性が予後良好因子であること (Respir Invest. 2017; 55: 24-32.)、抗MDA5抗体陽性例の予後予測に抗体価が重要であること、抗MDA5抗体陽性であっても、急性期を乗り越えた症例においては予後不良ではないことを報告した (Respir Invest. 2018; 56: 464-472.)。 申請者は、ヒトサーファクタント(SPC)プロモーターを用いてヒトMDA5の全長蛋白を肺特異的に高発現するトランスジェニックマウスを樹立した。加えて、in-houseのウサギ抗ヒトMDA5ポリクロナール抗体とマウス抗ヒトMDA5モノクロナール抗体を樹立した。ヒトMDA5の全長蛋白を肺特異的に高発現するトランスジェニックマウスにin-houseのウサギ抗ヒトMDA5ポリクロナール抗体を投与すると肺障害が起きることを確認し最近報告した(Zaizen, Respiratory Research 2023)。現在、ヒトMDA-5蛋白を全身に過剰発現マウスを作製している。また、抗ヒトMDA-5モノクロナール抗体(Zaizen, Respiratory Research 2023)と抗マウスMDA-5モノクロナール抗体も樹立した(未発表)。MDA-5に対する自己抗体による組織障害モデルマウスを用いて、自己抗体による組織障害の機序を解明中である。子細は、未発表のため書いていない。
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