研究課題/領域番号 |
22K08250
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大河内 眞也 東北大学, 事業支援機構, 准教授 (40375035)
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研究分担者 |
黒澤 一 東北大学, 事業支援機構, 教授 (60333788)
大石 久 東北大学, 大学病院, 講師 (60451580)
色川 俊也 東北大学, 事業支援機構, 教授 (70375179)
渡邉 龍秋 東北大学, 大学病院, 助教 (70636034)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
兼平 雅彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 加齢肺 / 炎症 / 代謝 / マクロファージ / STC1 |
研究実績の概要 |
加齢肺における慢性炎症の制御が課題である。RNAシーケンスを用いて比較検討したところ加齢肺では炎症因子IL6/JAKs/STAT3軸が亢進していることを見いだした(Am J Transplant 2024)。我々はSTC1(Stanniocalcin-1)の抗炎症作用について研究を行ってきた。我々が報告した作用は、STC1がミトコンドリアに作用し、解糖系、TCA回路、メチオニン、システイン代謝を変容させることである。これらの変容は翻訳後修飾(Epigenetics)や酸化ストレスに関わる。我々は、STC1経気道投与が、肺胞上皮細胞、肺線維芽細胞、肺胞マクロファージの、翻訳後修飾による抗線維化・炎症因子SMAD7発現増加や、酸化・小胞体ストレス軽減に関わることを報告している(AJRCMB 2022, Mol Ther 2015, 2012)。 STC1のマクロファージ抑制能(貪食能、遊走能、分化能等)(Cancer cell 2021)が報告されている。STC1は、M1マクロファージ(炎症促進)、M2マクロファージ(炎症の抑制、創傷治癒)どちらを優勢に抑制するかは解明されていない。M1活性化にはIL6/JAKs/STAT3、M2活性化にはIL4/JAKs/STAT6の亢進が関わる。2022年度は、ブレオマイシン経気道投与モデル(マウス)に対するSTC1経気道投与が、肺組織そして肺マクロファージのIL6/JAKs/STAT3を強力に抑制することを確認した。2023年度は、ブレオマイシン経気道投与モデル(マウス)に対するSTC1経気道投与が、肺組織、肺マクロファージのIL4/JAKs/STAT6に影響しないことを示すデータを得た。これらのデータは、STC1の抗炎症作用がM1マクロファージ抑制主体であることを示唆する。2024年度はこれらの知見を確定させるために追加の実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北大学の専属産業医と、東北大学病院の呼吸器内科を兼務している。産業医としては、学内のCOVID19感染者の増加、メンタル不調者への対応等の業務負担が増大した。呼吸器内科医としては臨床業務に対する業務負担が増大した。共同研究者が異動になったことも原因である。以上より、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、共同研究者がSTC1遺伝子導入マウスを作成している。そのマウスを用いて、STC1の肺胞マクロファージへの影響をより深く明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、学内産業医業務、臨床業務などの負担が重く、研究に費やす時間が減少してしまい、当初の計画の進行に遅れが生じている。そのため次年度使用額が生じた。2024年度は研究速度を加速し、研究費を使用する計画である。
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