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2022 年度 実施状況報告書

肺高血圧症の微小血栓形成における血小板因子Myl9の役割解明と新規治療基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K08251
研究機関順天堂大学

研究代表者

栗山 祥子  順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30773626)

研究分担者 岩村 千秋  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (10513062)
長岡 鉄太郎  順天堂大学, 医学部, 准教授 (70407295)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード肺高血圧 / ミオシン軽鎖 / 凝固線容系異常 / 微小血栓形成
研究実績の概要

肺高血圧症(PH)は、集学的治療が可能になった現在においても、治療抵抗例には肺移植が必要になる難治性の疾患である。重症例ではたった数歩の歩行すら困難となるその病態は多様な病態が複雑に交絡する。膠原病、感染症などの慢性炎症のみならず、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの急性炎症にも続発し、炎症機構の関与が濃厚と考えられている。急性期、慢性期共に、肺の血管内皮細胞障害を特徴とし、微小血栓形成及び凝固線容系異常が病態の増悪に寄与すると考えられているものの、炎症機構の相互関係の詳細は不明であり、各々独立した病態として考えることが通常であった。
そこで本研究では、PHの凝固線容系と炎症の病態における、活性化T細胞に発現するCD69のリガンドであるミオシン軽鎖(Myl9/12)の関与に着目した。Myl9/12は炎症反応に伴って血小板から放出される因子であり、申請者はPHの血管内でMyl9/12が網目構造を形成し、活性化血小板が捕捉されていることを見出している。
急性期PHモデルとしてアラキドン酸投与による急性肺血栓塞栓モデルを用い、抗Myl9/12抗体の予防的投与を行ったのちに実験的肺塞栓の誘発を行ったところ、抗Myl9/12抗体投与群はコントロール抗体投与群と比較し、肺動脈圧の急激な上昇が抑制される傾向を認めた。
さらに、ヒトPAHと同様の血管病変を有するPAHモデルマウスを用いて、血小板を減少する抗体を予防的に投与したところ、PAHモデルマウスの血管内のMyl9/12網目構造形成が抑制され、血管内の血栓が減少し、肺高血圧症の血行動態が改善したことを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

概要で示した通り、肺塞栓モデル及びPAHモデルマウスでの血行動態評価及び病理所見から、PHの病態におけるMyl9/12関与が強く示唆された。今後は血小板機能評価として、吸入麻酔下のPAHモデルマウスと抗Myl9/12抗体投与マウスの腹部大静脈から採血し、多血小板血漿(PRP)を調整した上で血小板凝集メーター(ヘマトレーサー)を用いた血小板凝集能を評価する予定である。さらに、凝固線容系評価として、マウス尾静脈出血時間を両群で比較し、血清のvWF/vWF切断酵素(ADAMTS13)量をELISA法で評価する。しかし、多血小板血漿(PRP)の調整に当たっては各群20匹程度のマウスを要し、手技的な問題で採血量が目的量に達しないこともあることから、進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は血小板機能評価として、吸入麻酔下のPAHモデルマウスと抗Myl9/12抗体投与マウスから多血小板血漿(PRP)を調整し、血小板凝集メーター(ヘマトレーサー)を用いた各群の血小板凝集能を評価する予定である。さらに、凝固線容系評価として、マウス尾静脈出血時間を両群で比較し、血清のvWF/vWF切断酵素(ADAMTS13)量をELISA法で評価する。また、PAHのヒト剖検例の肺組織を用い、肺血管内のMyl9/12分子の発現の有無、血管内微小血栓の有無を確認し、合わせて、病的肺血管のMyl9/12網目構造の形成の有無を評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

血小板凝集メーター(ヘマトレーサー)購入のため。

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公開日: 2023-12-25  

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