研究課題/領域番号 |
22K08255
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安尾 将法 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (20402117)
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研究分担者 |
北口 良晃 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (40447751)
和田 洋典 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80848739)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 第3群肺高血圧症 / 第1群肺高血圧症 / 診断 / 動物モデル / スフィンゴシンキナーゼ1 |
研究実績の概要 |
本研究は酸素療法以外に有効な治療法のない、第3群肺高血圧症に対して、Sphk1の数値によるフェノタイプ別診断を行い、これに基づいた的確な治療を行うという目標へ向けての橋渡しを目指した研究である。我々の施設で作成してきたSU5416+低酸素環境飼育による第3群肺高血圧症モデルラットおよび、コントロール、既報のSU5416を用いた第1群モデルラットの3群間における肺および肺動脈組織学的検討、血行動態測定およびSphk1(スフィンゴシンキナーゼ1)のELISAを実施した。 肺組織中のSphk1の結果は、値が高い群から順に第1群、コントロール、第3群という結果であり、第1群肺高血圧症で高値をとるとされるSphk1が、我々の第3群肺高血圧症モデルでは低値(これは、我々の仮説では、血管病変に比して肺病変(肺気腫)が有意であると解釈される)という結果であった。 一方血清中のSphk1の結果は、Sphk1の値が高い順に第3群、第1群、コントロールという結果であった。予想では第1群が最も高いと考えていたため、異なる結果であった。 原因として、肺の病理組織で第1群肺高血圧症モデルラットにおいていわゆるPlexiform lesionが形成されていなかったこと(今回飼育期間が3週間程度短かったことが原因と考えている)が考えられ、この点については次年度に再検討の予定である。 尚、右室重量は第1群、第3群、コントロールの順に重く、組織標本の肺については第3群肺高血圧症モデルラットで気腫性病変が形成されており、また平均肺動脈圧は高い順に第1群、第3群、コントロールという結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているとした理由は、ELISAキットが注文してから3ヶ月経過しないと届かなかったこと、故障した機器の修理が通常よりも遅延する(部品の調達の問題)ため、昨年度12月に実施予定であったELISAが3月になってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後検証する必要はあるが、初期実験で得られた結果は肺組織においては予想した結果に近く、血管病変の程度とSphk1の濃度が一致し、一方肺病変(肺気腫病変)の存在はSphk1を低下させるという結果であった。血清中Sphk1の結果は予想と異なっていたが、第1群肺高血圧症の病理組織学的所見が弱いものであったため、第1群肺高血圧症モデルラットを再作成の予定である。次年度以降も基本的に計画した通りの研究を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)購入物品の納品および機器修理がコロナ禍によると思われる資材調達不足などで年度終盤となったため、追加購入を予定していたELISAキットを購入できなかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度使用額は4月に納品予定の物品購入に使用する。 令和5年度請求額は当初の予定通り、消耗品費や学会発表費として使用する計画である。
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