研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の登場によって非小細胞肺癌(NSCLC)の治療成績が飛躍的に改善している。ニボルマブ等の投与により劇的な治療効果を示す 症例もあるが、奏効率は20%程度に留まる。一方、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤はNSCLCに対する優れた治療薬であるが、耐性が課題である。最近になって、4回 膜貫通分子CMTM6が免疫チェックポイントPD-L1の発現を制御することが明らかになった。申請者は肺癌由来エクソソームがCMTM7に制御される知見を得た。本研究では、「CMTM6およびCMTM7がエクソソーム形成を通して治療抵抗性を誘導している」という仮説を立て、その検証を行う。我々は肺癌細胞株のCMTMの発現を他癌腫細胞株を比較しながら評価した結果、肺癌細胞株ではCMTM6およびCMTM7で発現が高いことが分かった。その後の研究をCMTM6とCMTM7にフォーカスしていくことになった。 H1975肺癌細胞株とH1650肺癌細胞株にCMTM6およぶCMTM7をトランスフェクトする方法としてCMTM,EGFR、PD-L1の追跡を容易にするためNanoLuc 標識ベクターの作成して安定的にCMTMを発現できる細胞株を樹立した。それぞれのCMTMの働きをみるためにCMTMをノックダウンする系を作成中である。 エクソームの解析を一般的なエクソームマーカーを標識に分析したところCMTM6がエクソームに一般的なエクソームマーカー以上に搭載されていることを確認した。また、エクソソームに搭載されたPD-1分子の量をCMTM3,4,5,6,7,8それぞれのCMTMで検討した。CMTM3, CMTM4, CMTM8に高く、これらはPD-L1をExosomeに乗せる能力がある可能性がある。また、EGFRに関しても同様の研究を行いCMTM3, CMTM4, CMTM6が高かった。
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