研究課題/領域番号 |
22K08269
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
神尾 孝一郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20465305)
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研究分担者 |
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 教授 (10184194) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症 / 自然リンパ球 / 制御性T細胞 / M2マクロファージ |
研究実績の概要 |
自然リンパ球(Innate lymphoid cells; ILCs)は病原体に対する最前線での防御のみでなく、組織修復などへの関与も報告され、近年様々な肺疾患との関連も報告されている。ILC2はILCsの1サブセットであるが、呼吸器難病である特発性肺線維症患者ではILC2が多いほど早期の死亡に繋がる事が報告されている。リンパ球が肺線維化病態に及ぼす影響を検討することから開始した。 Rag-2IL-2rgノックアウトマウスはILC2を含む全てのリンパ球を欠損しているが、ここにブレオマイシンを投与した際の肺線維化病変の程度を評価した。線維化に関与するILC2を欠損するため、ブレオマイシン投与によっても線維化が悪化しないことが予想されたが、wild typeのマウスと同程度の線維化が確認された。 並行してこれまでに行ってきている骨髄由来M2-likeマクロファージの抗線維化作用に関する検討も行った。われわれはこれまで制御性T細胞(regulatory T cells; Tregs)による抗線維化作用を報告しているが、腎臓の線維化病態では、M2マクロファージによるTregの誘導を介した病態の改善効果が報告されている。このため骨髄細胞をIL-4と共培養しM2-likeマクロファージを作成し、脾臓より抽出したCD4陽性リンパ球と共培養した。しかしながら期待されるようなTregsへの分化誘導は認められなかった。 さらに抗線維化作用を示すM2-like macrophageの遺伝子をmRNA arrayで確認したところ、Fizz 1の高発現を認めた。しかし本分子のブレオマイシン肺線維症モデルマウスへの投与では抗線維化作用は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仮説が証明されないケースがいくつか続いたことが、やや遅れている理由として挙げられます。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロRNAによる制御性T細胞への分化の可能性を検討していきます。またマイクロRNAとmacrophage polarizationの関係を検討して参ります。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年夏季の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を少なからず受け、その繰り越し分が反映されています。また予定していた海外の学会での発表も、新型コロナウイルス感染症の影響で見合わせる事になったため、その経費の支出が無くなったことも理由として挙げられます。 引き続き実験を進めるとともに、得られた知見の海外を含めた学会発表を精力的に行って参ります。
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