研究課題
CD109-/-マウスを用いてHDMによる気管支喘息モデルを作成して検討を行った。興味あることにCD109-/-マウスでは気道過敏性の低下と、BALF中の好酸球数減少が認められた。病理学的にもCD109-/-肺では炎症細胞逡巡や気道壁肥厚が軽減されPAS陽性細胞数も低下していた。肺組織を用いた検討でも、CD109-/- マウス肺では2型サイトカインの発現が低下していた。次に喘息肺におけるCD109分子の発現を検討したところ、CD109分子は喘息病態において樹状細胞(DC)に誘導されることを見出した.DCに発現するCD109分子の役割を検討するため、DCとCD4+ T細胞と共培養実験を行った。CD109-/- 肺cDC2はWT 肺cDC2と比較して、有意に共培養上清中のIL-13濃度が低下していた。蛍光標識OVAを用いて、in-vivoで樹状細胞の抗原貪食能の検討した。WT肺cDC2と比較してCD109-/- 肺cDC2では抗原貪食能が有意に低下していることを見出した。DCに発現するCD109分子のアレルギー炎症における意義を評価するために、骨髄由来DC(BMDC)を作成して、WTマウスへの移入実験を行った。この実験により、DCにより誘導されるアレルギー性炎症を直接比較評価した。CD109-/-マウス由来のBMDCを移入したマウスでは,好酸球性気道炎症低下に加えて気道過敏性も減弱し,アレルギー炎症が低下していることが再現された。抗CD109抗体が新規治療標的となりうるかを検討するため、抗CD109抗体を作成して検討を行った。抗CD109抗体は、抗原感作または抗原チャレンジいずれの時期に投与しても、アレルギー炎症を抑制することが確認された。CD109分子が樹状細胞を介してアレルギー炎症を制御していること。またCD109分子は気管支喘息の新たな治療標的になりうると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
CD109分子が樹状細胞を介してアレルギー炎症を制御していること。また抗CD109抗体によりアレルギー性気道炎症が抑制されることを見出した。このためCD109分子は気管支喘息の新たな治療標的になりうると考えられた。
気管支喘息の病態では樹状細胞に加えて、2型自然リンパ球の重要性が知られている。このためCD109分子と2型自然リパ球の関わりについてに研究を進めている.
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