研究課題
肺神経内分泌肺腫瘍に関して検体収集を行うとともに、神経内分泌腫瘍の特徴をもった肺癌細胞株を用いた検討を行っている。MYCファミリー転写因子であるMYC、MYCL、MYCNに関して検討する方針とし、Cancer Cell Line Encyclopedia (CCLE) などのパブリックデータベースを用いて、肺癌細胞株におけるMYCファミリー転写因子発現および神経内分泌的特質に関して検討を行った。 MYCファミリー転写因子として、MYC、MYCL、MYCNが知られているが、MYCNは神経や神経内分泌組織に関連しており、これまで肺神経内分泌癌における役割は十分には明らかにされていない。このMYCNに関連した肺癌細胞株をパブリックデータベースを元に抽出し、MYCNが高発現である細胞株を複数入手した(NCI-H526,H2106、他)。これらの細胞株において、MYCNのノックダウンや過剰発現を行い、細胞増殖能など基礎的な特徴の検討を行っている。臨床検体に関しては、ChIP-seq 解析を行ってDNAメチル化に関してエピゲノム解析を行い検討している。また、これまでの文献や研究をまとめて総説を発表し(【肺癌に対する薬物治療の最前線】小細胞肺癌の分子サブタイプ.医学のあゆみ287(7): 493-496, 2023)、本研究分野の現状を研究者へ紹介することに努めた。引き続き、細胞株を用いて、MYCファミリー転写因子のノックダウンや過剰発現の系を確立し、肺神経内分泌癌におけるそれらの転写因子の重要性に関して検討していく。
2: おおむね順調に進展している
肺神経内分泌腫瘍に関して検体収集を行うとともに、in vitroの実験として、複数の肺神経内分泌癌細胞株を使用した検討を行っている。MYCNのノックダウンや過剰発現を行い、細胞増殖能など基礎的な特徴の検討を行っている。臨床検体に関しては、ChIP-seq 解析を行いDNAメチル化に関してエピゲノム解析を行い検討している。
引き続き、肺神経内分泌腫瘍の検体収集を行っていくとともに、複数の肺癌細胞株でのin vitroの実験系を進めていく。MYCファミリー転写因子であるMYC、MYCL、MYCNの関与が考えられる肺神経内分泌癌細胞株などを用いて、それらの癌遺伝子をノックダウンもしくは過剰発現した系での検討を行っていく。
細胞株に関してはノックダウンや過剰発現の実験により基礎的な検討を行っており、臨床検体に関してはChIP-seq 解析を行いDNAメチル化に関してエピゲノム解析を行い検討している。検体数に応じて適宜実験を行っているが、今後のさらなる発展的な検討を翌年度以降に行うため、次年度以降に持ち越した。また、海外学会での発表に至っていないため学会発表のための資金を使用せず、将来的に使用する可能性を残している。
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医学のあゆみ
巻: 287 ページ: 493~496
10.32118/ayu28707493