研究課題/領域番号 |
22K08301
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
滝山 由美 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (00396350)
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研究分担者 |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
世良 俊博 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40373526)
青沼 達也 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90646001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病腎症 / 心腎連関 |
研究実績の概要 |
A: 撮像条件の設定:①造影剤:クリアランス測定を目的としている本研究では臨床現場で頻用されるCT造影剤オムニパーク(Iohexol)を使用することとした。Iohexolのヨウ素含有量は 300mg/mlであり、体重30gのマウスでは50μl注射量は体重1㎏あたり500㎎に相当する。実際、Iohexol 50μlは静注後数分以内に速やかに膀胱内へ排泄され腎臓内の造影輝度は認めず、また、静注後、腹部臓器内血管が十分に撮像されていたため、造影剤輝度も評価可能と判断した。 ②撮像時間:本研究において、Iohexol 50 μl投与では正常対照群マウスでは5分後には腎臓内には造影剤輝度を認めなかった。腎障害マウスにおいて15分後までの観察時間で十分と考えられた。 ③麻酔法:本研究では、医薬品であるメデトミジン、ミタゾラム、ブトルファノールによる三種混合注射麻酔薬を使用した。メデトミジン、ミタゾラムには、呼吸抑制作用は無く、また、循環系への影響も少ない。両薬剤ともに、筋弛緩作用を有しており、今回、非動化に用いるpancuronium bromideの使用なくとも撮影に問題が無かったのは、両薬剤使用によるものと考えられた。 B. 肥満2型糖尿病モデルマウス in vivo imaging:正常血糖対照群マウス db/mでは、造影剤静脈注射後10秒後には造影剤は腎盂にのみ認め、2.5分後においても腎皮質部など腎臓内部には造影剤輝度を認めなかった。一方、肥満2型糖尿病モデルマウスdb/dbでは、造影剤投与10秒後に腎動脈に造影剤を認め、2.5分後には腎臓内に高吸収の造影剤の停留を認め、心機能低下による造影剤分布速度低下と腎臓における造影剤クリアランス低下を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
播磨科学公園都市にある大型放射光施設SPring-8の放射光マイクロCTを用い、糖尿病マウス、正常血糖対照マウスを用い、in vivo imagingを2023年度は2度施行し、撮像条件を確定できた。2023年6月には、インジェクターによる造影剤注入、また、ベンチレーター、麻酔などの実験条件の検討に、C57BL/6Jマウス5匹を用い、条件を設定後、正常血糖対照群db/mマウス 3匹、肥満2型糖尿病群 db/dbマウス3匹を用い、同条件について確認した。更に、2023年10月には、db/mマウス 14週齢 7匹、40週齢 7匹、 db/dbマウス 14週齢10匹、40週齢6匹と、腎症早期と進行期にあたる週齢の異なるマウスを用い、撮像を行った。in vivo imagingによる撮像実験と並行して、研究分担者青沼医師によるマウスの心エコー検査を行い、db/dbマウスの拡張心不全を認めた。現在、in vivo imagingのデータを解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
本撮像方法からの造影剤クリアランスの定量化と、既存の腎機能、心機能評価との比較検討を目的に、2024年度では、更にマウスのサンプル数を増やし、統計学的解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度解析中であるマウス撮像データの結果をもって、2024年度にサンプル数を増やし、実験を完了する予定のため。
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