研究課題/領域番号 |
22K08309
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水野 正司 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20303638)
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研究分担者 |
鈴木 康弘 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20584676)
金 恒秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (40745238)
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
福井 聡介 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90896060)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 実験腎炎 / 動物モデル / 補体活性化 / 補体制御 |
研究実績の概要 |
補体活性化異常の関与が注目されるC3腎症(C3G)は、発症機序などその病態に不明な点が多い。このためモデル動物の作製およびその解析が、病態の解明や治療薬の開発には不可欠である。本研究では、①補体H因子(FH)変異マウス(FHm/mMo)およびH因子/プロパジン(P)の二重遺伝子改変マウス(FHm/mPKO Mo)を用いてC3Gの多彩な病理像・発症機序の解明、②C3変換酵素(C3bBb)活性を持続させる自己抗体(C3NeF)型の新規C3Gモデルマウス作製とその病態解析を目的として研究を進めている。 概要1:表現型の異なる遺伝子(H因子(HF))変異型C3G発症マウスモデルを用いて、補体系蛋白のC3G発症・進展機序への関わりを明らかにするため、海外共同研究者から供与された。R4年は、C3Gを自然発症する遺伝子改変マウス(H因子の変異マウス(FHm/m Mo)とPもノックアウトしたHFm/mPKO Mo)を、実験可能なレベルへの安定供給状態にすること、また、供給元で認められた病変の再現性を確認した。次年度は、光顕観察下で経時的な形態学的変化、補体活性化産物の沈着、電顕観察下で高電子密度沈着物形成の時間的変化について、形態学的に解析を進める。 概要2:C3NeFの作成と病態解析のために自己抗体型C3腎症の動物モデルの作成の取り組みとして、C3NeFに相当する多クローン性抗体を作成するために、分子構造から異なる4種類のアミノ酸配列に対して、それぞれについて高純度の免疫候補ペプチドを作成した。次に、それぞれのペプチドをウサギに免疫し、ELISA系にて抗体産生を確認し、その抗血清を回収した。次年度は、および精製免疫グロブリンなどを用いて、実験動物で、腎炎惹起を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要1について、表現型の異なる遺伝子(H因子(HF))変異型C3G発症マウスモデルを用いて、補体系蛋白のC3G発症・進展機序への関わりを明らかにするため、海外の協同研究者よりマウスが供給されたが、供給されたマウスに汚染を確認したため、C3Gを自然発症する遺伝子改変マウス(H因子の変異マウス(FHm/m Mo)とPもノックアウトしたHFm/mPKO Mo)の除染の作業に時間がかかってしまった。 その後、遺伝子的系統維持も安定し、実験可能なレベルに安定供給ができるようになったため、供給元で認められた病変の再現性を確認できた。
概要2について、R4年度末までに、目的とする抗血清の作成まで、ほぼ計画通りに進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
概要1については、経時的な光学顕微鏡下に形態学的変化、補体活性化産物の沈着、電子顕微鏡(EM)観察下で高電子密度沈着物(EDD)形成の時間的変化について形態学的に解析を進める。 概要2については、次年度は、この得られた抗体のin vivo作用について、抗血清、および精製免疫グロブリンなどを用いて、ラットで、4種類の抗血清を単独、もしくは複数投与し、腎炎惹起を試みる。一旦腎炎モデルの作成に成功した後は病態解析、特に補体との関連に焦点をあてて検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入試薬について、海外からの輸送による遅延、特にプラスチック製品の欠品が多く、代替品を探す作業が多く、実験の計画に多少の影響が出たため未使用額が生じた。未使用額はモデル動物を用いて、補体系蛋白のC3G発症・進展機序への関わりを明らかにするための試薬購入に充てる。
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