研究課題/領域番号 |
22K08313
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 希尚 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60533362)
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研究分担者 |
古橋 眞人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20563852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪酸結合タンパク4 / 慢性腎臓病 / 代謝異常関連脂肪肝疾患 / メタボリックシンドローム / 糸球体障害 / 糸球体内皮細胞 / 小胞体ストレス / アディポカイン |
研究実績の概要 |
健診データを用いた検討により、過体重/肥満、2型糖尿病または代謝調節不全を伴う脂肪肝として定義された代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)が新規慢性腎臓病(CKD)発症の有意なリスク要因であることを確認し、収縮期血圧上昇に強く関わることを報告した。また、男性ではLDLコレステロール上昇がeGFRの有意な低下要因となり、新規CKD発症のリスク因子となることを見出した。更に一般住民コホート研究においてMAFLD罹患の有無別に脂質シャペロンであるFABP4濃度を検討した結果、MAFLDではFABP4濃度が有意に高値であることを突き止めた。一方、IgA腎症とその動物モデルであるgddYの腎組織解析及び血清・尿解析において、FABP4が糸球体内皮細胞とMφで検出され、糸球体内FABP4発現量が尿蛋白量、血清FABP4濃度及び尿FABP4排泄量と強く相関することを確認した。更にヒト糸球体内皮細胞(HRGEC)では血管内皮細胞増殖因子の処理でFABP4が誘導/分泌され、HRGECまたはマウスpodocyte(MPC)へのパルミチン酸結合リコンビナントFABP4投与により炎症性サイトカインおよび小胞体ストレスマーカーの遺伝子発現が有意に上昇し、その効果は抗FABP4中和抗体により減弱することを確認した。以上よりFABP4は直接腎障害に関与する可能性があり、MAFLDとCKDとの関連には共通した背景因子であるメタボリックシンドロームが関与する機序に加え、MAFLDで過剰に産生されるアディポカインや炎症性サイトカインが直接的または間接的にCKDを引き起こす機序が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画を順調にこなしている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の検討を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、学会発表のための旅費を使用しなかった。
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