研究課題/領域番号 |
22K08314
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
桑原 頌治 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (70645209)
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研究分担者 |
辰巳 佐和子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80420545)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 糖尿病 / 腎機能低下 / 糖尿病性腎臓病 |
研究実績の概要 |
本研究の学術的な問いは、糖尿病の3大合併症の一つである、腎機能低下の発症進展機序を解明することにある。その機序の一つとして、糖尿病における高血糖状態が腎臓の負荷となっていることが知られているが、高血糖だけでは説明ができなことも知られている。そこで本研究では、多臓器連関による糖代謝-ミネラル代謝連関機構を仮説として、糖代謝状態がミネラル代謝に影響を与え、結果として糖尿病におけるミネラル代謝負荷の亢進が腎機能低下に関与することを証明することを目的としている。 まず本年度は自然発症型の糖尿病モデル動物を用いる実験の構築を目指して行ったが、新規導入した自然発症型の糖尿病様モデルマウスが実験施設の変化に伴うストレスを原因として、検討に十分な数の交配・出産数の確保ができなかった。なお、現在は施設の工夫により、徐々に交配・出産ができてきている。そこで先に、糖尿病に伴う腎機能低下が進行したモデルとして、腎臓摘出による慢性腎臓病モデルを用いた研究を行った。既知の現象ではあるものの、検討に用いた慢性腎臓病モデルでは糖代謝、ミネラル代謝の両者が異常となっていることを確認できた。現在はこのモデルから得られた検体を用いて、遺伝子レベル、タンパク質レベルの両側面から糖代謝-ミネラル代謝連関の評価を勧めている。 また腎臓の糖代謝状態によるミネラル代謝が直接的であるか否かを検討するために、培養細胞系の準備を行っている。既に所有している腎臓由来細胞で評価対象項目の発現を検討したところ、一部の標的の発現が不十分であることが明らかとなったため、新規に腎臓近位尿細管由来細胞株を導入し、検討できる準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で用いる準備をしている、糖尿病様モデル動物の樹立が期待通りにできていない。飼育環境の変化に伴うストレスであることが想定されたため、現在までに可能な限りの対処を行い、状況は改善されているが、研究計画の修正を必要とすることになった。 また腎臓における直接的な作用を検討するために用いた、既に所有していた腎臓由来の培養細胞では十分な検討ができない可能性が明らかとなり、新規に別の細胞を探索し検討する必要が発生したため、予定より多少遅れている。 しかし、いずれの課題も概ね解決の方向であり、今後、本年度の多少の遅れは取り戻せる計画である。
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今後の研究の推進方策 |
新規導入した糖尿病モデル動物は数の確保を目指している。なお、現状では予定より遅れるものの、必要数の確保ができる予定である。確保ができしだい、当初の予定通りモデル動物を用いた検討を行う。 このモデル動物で期待した結果が得られない場合、既に別の糖尿病ないし糖尿病性腎臓病モデルの作成の準備をしている。別のモデルを用いることにより、計画の遅れは最小限に留められる見込みである。 また培養細胞においても、新規に購入済みであり計画通り研究を進めることができる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物の数が期待通りに確保できなかったため、予定していた動物実験の多くが未実施である。そのため、各種解析や実験試薬・キットの購入が行われておらず、当初の予定より利用額が減っている。モデル動物の確保ないし別のモデル構築が概ね現在までに対処できる予定であり、次年度以降に当初の計画通り各種データ解析や試薬・キットに利用予定である。
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