研究課題/領域番号 |
22K08330
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
金崎 啓造 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (60589919)
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研究分担者 |
外山 雄大 島根大学, 地域包括ケア教育研究センター, 研究員 (60880507)
矢本 琢真 島根大学, 医学部, 医科医員 (60931227)
小林 弘典 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (70397868)
川北 恵美 島根大学, 医学部, 助教 (70835884)
槇野 裕文 島根大学, 医学部, 医科医員 (90896052)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | サルコペニア / 腎臓 / 抗老化 / 線維化 |
研究実績の概要 |
サルコペニアを合併する糖尿病性腎臓病(DKD)において、インスリン抵抗性、サルコペニア、腎障害は負のスパイラルを形成して病態進展に寄与する可能性がある。新規マイオカインであるβアミノイソ酪酸(β-aminoisobutyric acid: BAIBA)は、インスリン抵抗性改善・線維化抑制効果等を有し、上記症例に対して治療戦略となる可能性があるが、DKDにおけるBAIBAの実態は不明である。我々はBAIBA異性鏡像体の正確な解析法を確立した。1. BAIBA血中濃度のバイオマーカーとしての意義の確認:BAIBAの血中濃度を臨床サンプルで測定するための臨床試験実施計画を学内臨床試験倫理委員会に提出し、許可された。臨床パラメーターやリサーチパラメーターと共にBAIBAの血中濃度との関連を確認する。2. BAIBA孵置による血管内皮細胞保護効果の検証:内皮細胞にTGF-beta2を孵置するとマトリゲル上でのtube formationが破綻する。BAIBAは高濃度においてTGF-beta2によるtube formation破綻を抑制傾向を示したが、結果が安定しないため、現在実験条件を調整している。3. 線維化惹起しやすいCD1系統のdb/dbマウスを用いたin vivo介入:動物実験施設の改修・移動などにて十分な数のマウスを確保することが困難であり、実施できていない。4. CD-1マウスを用いた1型糖尿病モデルに関しては顕著な心臓線維化とネクロプトーシスがSOX9不全依存性に誘導されることを示唆する結果を得た。今後BAIBA介入による効果に関して解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験棟の改修に伴うin vivo動物解析が出来ていない事は予想外であった。ただし、心臓や腎臓の線維化とネクロプトーシスとSOX9不全との関連など、予想外に興味深い結果も同時に確認している。in vitroの結果も不安定であり実験条件の調整が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1. BAIBA血中濃度のバイオマーカーとしての意義の確認:BAIBAの血中濃度を臨床サンプルで測定するための臨床試験実施計画が学内臨床試験倫理委員会に許可されたので、ストックサンプルを提出する。2. BAIBA孵置による血管内皮細胞保護効果の検証:内皮細胞にTGF-beta2を孵置した際に生じる細胞死に関してMTTアッセイ、FACS解析を行う。3. 線維化惹起しやすいCD1系統のdb/dbマウスを用いたin vivo介入:現在CD-1db/dbが順次誕生してきており、BAIBA介入実験を計画している。4. 心臓線維化とネクロプトーシスとSOX9不全に関してCD1db/dbマウスでも確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の実施が実質上出来なかったため、当該研究費は繰り越し次年度以降に用いることにしたため。
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