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2022 年度 実施状況報告書

腎疾患における2型自然リンパ球の関与

研究課題

研究課題/領域番号 22K08339
研究機関昭和大学

研究代表者

伊與田 雅之  昭和大学, 医学部, 教授 (20384365)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードILC2 / 腎線維化 / 微小変化型ネフローゼ症候群
研究実績の概要

①腎線維化におけるILC2の関与
雄のC57BL/6Jに片側尿管結紮(UUO)を施行し、腎間質線維化モデルを作成した。結紮前後にリコンビナントIL-33を連続投与し解析した。線維化過程におけるILC2動態を把握するため、結紮2, 4, 7日後のILC2を解析したところ、ILC2は対側腎と比較しUUO腎で減少したが、CD4+Tは増加した。次に、結紮前にIL-33を投与しILC2を腎臓に誘導した後にUUO処置を行い、線維化予防効果を検討した。その結果、IL-33投与により両腎ともILC2数は増加し、線維化関連遺伝子の発現は有意に抑制された。また、病理学的解析においても線維化領域の縮小を認めた。この実験系でCD4+T細胞を枯渇させたところ、線維化関連遺伝子の発現に影響しなかったことから、線維化予防効果はILC2主体であった。

②微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) 発症におけるILC2の関与
腎生検でMCNSと診断された患者49名と、健常者ボランティア6名を対象に検討を行なった。MCNS患者のうち29 名は寛解後も対象とした。MCNS患者と健常者の血清・尿におけるIL-33およびIL-33受容体soluble suppression of tumorigenicity 2 protein(sST2)の濃度と臨床所見を解析した。MCNS患者血液中のILC2分画は、健常人、他の腎炎患者と比較して有意差はなかった。MCNS患者と健常者の血清・尿でIL-33は殆ど検出されなかったが、sST2はMCNS患者の腎生検時の血清・尿で高値であった。MCNS患者の血清sST2濃度は、血清総蛋白と負の相関があり、血清クレアチニンと正の相関があった。寛解時の血清・尿でsST2濃度は低下していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①腎線維化におけるILC2の関与
ILC2による線維化の予防効果を司る責任分子や機序は未知であるが、ILC2が腎線維化を制御し得る可能性が示唆され、研究は順調に経過している。

②MCNS発症におけるILC2の関与
MCNSの病態にIL-33関連の免疫応答が関与する可能性が示され、研究は順調に経過している。

今後の研究の推進方策

① 腎線維化におけるILC2の関与
今後はsortingして得られた腎ILC2またはその培養上清を腎線維化モデルに移植し、抗線維化効果を明らかにする。また、腎線維芽細胞と共培養し、線維化マーカーを解析し、抗線維化メカニズムを探る。

② MCNS発症におけるILC2の関与
今後は、MCNS発症時の患者血清で培養podocyteを刺激した場合のIL-33関連マーカーの変化の検討や、腎生検標本におけるIL-33免疫染色を検討し、MCNSにおけるIL-33関連の免疫応答がpodocyte由来であることを明らかにしていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] HIF-PHD inhibitor regulates the function of group2 innate lymphoid cells and polarization of M2 macrophages2023

    • 著者名/発表者名
      Nagashima Ryuichi、Ishikawa Hiroki、Kuno Yoshihiro、Kohda Chikara、Iyoda Masayuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 1867

    • DOI

      10.1038/s41598-023-29161-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] IL-33 attenuates renal fibrosis via group2 innate lymphoid cells2022

    • 著者名/発表者名
      Nagashima Ryuichi、Ishikawa Hiroki、Kuno Yoshihiro、Kohda Chikara、Iyoda Masayuki
    • 雑誌名

      Cytokine

      巻: 157 ページ: 155963~155963

    • DOI

      10.1016/j.cyto.2022.155963

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 2型自然リンパ球(ILC2)は腎間質線維化を軽減する2022

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、久野芳裕、石川裕樹、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第65回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] 微小変化型ネフローゼ (MCD) におけるIL-33の意義2022

    • 著者名/発表者名
      金澤伸洋、伊與田雅之、鈴木泰平、橘 翔平、長島隆一、本田浩一
    • 学会等名
      第65回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] 2型自然リンパ球(ILC2)は腎間質線維化を軽減する2022

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、久野芳裕、石川裕樹、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第25回 腎間質障害研究会
  • [学会発表] 微小変化型ネフローゼ (MCD) におけるIL-33の意義2022

    • 著者名/発表者名
      金澤伸洋、伊與田雅之、鈴木泰平、橘 翔平、長島隆一、本田浩一
    • 学会等名
      第21回氷川フォーラム
  • [学会発表] CKDにおける2型自然リンパ球(ILC2s)の役割2022

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、石川裕樹、久野芳裕、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第22回氷川フォーラム
  • [学会発表] IL-33 attenuates renal fibrosis via group2 innate lymphoid cells2022

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、石川裕樹、久野芳裕、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第51回日本免疫学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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