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2023 年度 実施状況報告書

腎疾患における2型自然リンパ球の関与

研究課題

研究課題/領域番号 22K08339
研究機関昭和大学

研究代表者

伊與田 雅之  昭和大学, 医学部, 教授 (20384365)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードILC2 / 腎線維化 / 微小変化型ネフローゼ症候群
研究実績の概要

①腎線維化におけるILC2の関与
HIFによるILC2制御機構の解析を通じ、線維化制御機構の解明を目指した。腎ILC2をソートし、培養中にHIF-PHD阻害剤を添加、その培養上清を骨髄由来マクロファージ(BMDM)に添加した。HIF活性化で、ILC2の増殖能・IL-5・IL-13産生・ST2L発現の低下、p38 MAPKリン酸化が減少した。HIF-PHD阻害剤で処理したILC2培養上清のBMDMへの添加で、M2マクロファージ分極が抑制された。次に、CKD病態における腎ILC2sの役割とその線維化抑制機構の解明を目指した。アデニン腎症CKDモデルを作成し解析した。CKD腎のILC2はIL-5産生・GATA3発現が減少、IL-13産生が増加していた。ILC2を活性化するIL-33を投与すると、線維化領域の縮小を認め、線維化関連遺伝子発現も有意に低下した。腎ILC2と腎線維芽細胞株を共培養したところ、線維芽細胞でのActa2およびFn-1の発現が抑制された。

②微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) 発症におけるILC2の関与
我々は、IL-33受容体sST2がMCNS患者の腎生検時の血清・尿で高値であり、MCNS患者の臨床パラメーターと相関があることを見出した。そこで、MCNS患者と腎移植0時間プロトコール生検の腎生検標本を用いてIL-33の免疫染色を行った。In vitroでは、MCNS患者の血清とインキュベートした培養マウスpodocyte(MPCs)を用いて、IL-33の発現を評価した。その結果、MCNS患者において、糸球体上皮細胞にIL-33が強く染色された。培養MPCsでは、MCNS発症時の患者血清で刺激した群で、寛解時の血清で刺激した群と比較してIL-33mRNA発現量が多く、培養上清のIL-33濃度が高かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①腎線維化におけるILC2の関与
ILC2は低酸素によるHIF活性化でその機能が抑制され、M2マクロファージ誘導制御から、腎線維化を軽減する可能性が示唆された。また、アデニン腎症CKDモデルでの研究では、ILC2が腎線維化およびCKD治療の新しい治療標的となり得る可能性が示された。研究は順調に経過している。

②MCNS発症におけるILC2の関与
MCNSの病態に糸球体上皮を介したIL-33関連の免疫応答が関与する可能性が示され、研究は順調に経過している。

今後の研究の推進方策

①腎線維化におけるILC2の関与
今後はsortingして得られた腎ILC2またはその培養上清を用いて、近位尿細管上皮細胞での炎症性サイトカイン分泌抑制、EMT(上皮間葉転換)抑制効果に関して明らかにしていく。

②MCNS発症におけるILC2の関与
MCNS発症時の患者血清で培養podocyteを刺激した場合、IL-33やAngptl4発現は誘導できたが、MCNS発症に重要なCD80発現は認めなかった。PodocyteにおけるCD80発現誘導に関して探る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Exploring the significance of interleukin-33/ST2 axis in minimal change disease2023

    • 著者名/発表者名
      Kanazawa Nobuhiro、Iyoda Masayuki、Suzuki Taihei、Tachibana Shohei、Nagashima Ryuichi、Honda Hirokazu
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 18776

    • DOI

      10.1038/s41598-023-45678-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CKDにおける2型自然リンパ球(ILC2)の役割2023

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、久野芳裕、石川裕樹、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第66回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] HIF-PHD阻害剤は2型自然リンパ球を抑制し、M2マクロファージ誘導を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      長島隆一、久野芳裕、石川裕樹、幸田力、伊與田雅之
    • 学会等名
      第66回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] Group2 innate lymphoid cells ameliorate renal fibrosis and dysfunction associated with adenine-induced CKD2023

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Nagashima, Hiroki Ishikawa, Yoshihiro Kuno, Chikara Kohda, Masayuki Iyoda
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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